ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

カントリーハウスの建築家

建築関連の英書がさっぱりわからないので、幾つか和書を探しました。ヴィクトリア朝期は「ゴシック様式の復興」、その考えを本にした人がPugin(ぴゅーじんと発音するらしい)だということがわかりました。



これ以前には、ロバート・アダム(『英国貴族の邸宅』という彼を扱った本が小学館から出ています)の「新古典様式」が、ギリシア的やイタリア的な様式を取り入れたもの、というところまではなんとなく理解しましたが、建物も時代によって増改築が行われているので、複雑です。



『ブライズヘッド再び』のドラマのロケで使われたカースル・ハワードと、ブレナム・パレスは16〜17世紀、ジョン・ヴァンブラという人によって建築されたそうですが、確かに似たような匂いがあります。カースル・ハワードは『暖房の文化史』では、「今は観光地だからそうでもないが、暖炉から煙が出ている当時の姿は美しくない」というようなことが書かれていたと思いますが、観光地となった今と、煙突から煙が出る当時は姿が違いそうですね。



そしてタイトルの話題ですが、いろいろな建築家の履歴を見ていると、インドの都市計画を担った建築家はリットン伯爵家の令嬢と結婚したとありました。妻を経済的に困窮させないため、その夫は(伯爵家に強制されて?)生命保険にも入ったとか……今までほとんど知りませんでしたが、当時の建築家は追いかけてみる価値がありそうな職業です。



庭園と一緒で、あまり深く「使用人以外」に踏み入れたくは無いのですが、関連しそうな参考文献を探していると、結構面白いです。それに当時の建築家は元となる建築案の絵も巧みに描いていたので、それを見ているだけで楽しいです。ウィリアム・モリスとか、ミントンとか、建築に関連して出てくるので、すさまじく深いです……



最後に、前に日記に書いたヴィクトリア朝の性遍歴が生々しく描かれている膨大な著作『わが秘密の生涯』ですが、発行した人の息子は、なんと建築史に名を残す有名な人だったそうです。この本を出した後に夫妻は離婚したと記されていましたが、いろいろと繋がっているので、こうした探求は終わりがありませんね。