ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

『キング・アーサー』

土曜日は『キング・アーサー』に行って来ました。主人公アーサーはなんとブリテンに駐留する4〜5世紀のローマ人、円卓の騎士たちはローマに支配された東方のサルマート出身の騎兵たち、という設定でした。ローマ大好きな自分としては、これだけでもう負けました。属州国から来た彼らは15年の兵役を、終えようとしていた、というところから始まります。



映像は雪景色や靄が多く、ファンタジーっぽい雰囲気でしたし、あまりCGを使わないで迫力ある映像を作り上げたように思えます。集団戦闘描写や一騎打ちの迫力では『TROY』の方が上だと思いますが、『キング・アーサー』では集団における個人戦闘や騎兵と歩兵の戦いが綺麗に描かれていました。『HERO』以降、『TROY』、そしてこの『キング・アーサー』も矢の本数が異常に多く、速く、威力がありすぎます。



シナリオ的には場面場面が『ガンダム』視点(戦局全体が見えない・個人の視点で移動)で世界の距離感・地理的な奥行きを掴みにくかったですが、『キング・アーサー』の最大の見所は、アーサーの部下にあります。円卓の騎士である彼らの会話や、ローマでの兵役を終えたい気持ち、そしてアーサーへの信頼感。



唯一の問題は、その彼らからの信頼感にアーサーが応える描写が少なかったことでしょうか。アーサーは彼らが何故アーサーの為に命を懸けるのか、理解しきれなかったようです。アーサーの口から出る言葉は理想的・アメリカ的な「フリーダム」の為。なぜ、彼の為についてきた人たちに、「オレの為に戦ってくれ」「オレと一緒に戦ってくれ」と言えなかったのか。



「士は己を知る者の為に死す」



その辺りで、アーサーに「男らしい」魅力を感じませんでした。己が主と選んだアーサーに殉じた男たちの気持ちが果たして報われたのか、考えさせられます。劉備、なんでしょうね、きっと。



今回の主役は「ランスロット」「髭」「馬」です。



気がつけば今月見た映画はすべて、「イギリス」でした。