ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

エドワード八世に仕えていた執事

日曜日に病に倒れ、数日何も出来ませんでした。昨日の夜から復帰し始め、久しぶりに英国王室に仕えた執事の本の読解を再開しました。とりあえず今週でこれを読み終えることでモチベーションを回復し、依頼事項を含めて、整理をします。



この執事Ernest Kingは退位したエドワード八世(ウィンザー公爵)にも仕えていました。フランスの城で暮らす公爵の日常、ウォリス・シンプソン夫人との生活が描かれていて意外に面白いです。Ernest Kingは本当に「超・大金持ち」ばかりに仕えているので、描かれる世界が半端ではありません。



そんな中、彼がコメントしていて面白かったのは、「仕えやすい主人」について、です。シンプソン夫人は「朝令暮改」、自分の行動がどのように使用人の仕事を増やすのかを理解できない人で、それを執事は「生まれ」(機会・経験)の点で、「仕方がない」と諦めています。



具体的に言えば、「ダイニングルームで夕食を食べたい」→「テラスにしよう」→「テラスの湿度が高いから、ダイニングルームで」→「公爵が、『テラスでいいよ』と仲介」と言う流れがありました。



準備が整ってからそのように方針を変えるので、仕事が無駄になる。この点でモチベーションは下がりますね。そうしたことに対する無配慮も、「彼女がこれまで大きな屋敷の女主人になったことがないから・そういう育ちではないから」と、Ernest Kingは指摘しています。



これなどは屋敷と言う観点を離れても、「人にモノを頼むときに、何が大切か」を教えてくれるエピソードだと思います。具体的に執事は夫人の行動を変えるようなアクションをしていませんが、屋敷を離れたのも、そのような理由があるとは思います。