ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

森薫先生の本棚





森薫先生が『COMICS DRAWING』の表紙・巻頭特集で登場しているこの雑誌を買いました。何よりも興味深かったのは、森薫先生の仕事場の書棚です。圧巻と言うレベルで、稠密に描かれたヴィクトリア朝を描くのに費やされた書籍の数々には、ただ圧倒されます。



久我は自分でも相当英書を持っているつもりでしたが、ジャンルが限定されていて、狭いです。森薫先生は作品の世界を再現する為、衣装や小物、建物や家具、食事やインド、イートン校やらとにもかくにもあらゆる資料を収集しており、作品で垣間見える世界は、蒸留・凝集された、氷山の一角でしかないとあらためて認識しました。



『エマ』は、なんて贅沢な作品なのでしょうか。



書斎を見て思い起こすのは、司馬遼太郎記念館です。久我の最も好きな作家は司馬遼太郎さんで、一度だけ司馬遼太郎記念館に足を運びました。生前住まわれた家の敷地内に隣接する記念館は、司馬遼太郎さんの莫大な数の蔵書が収蔵されています。



その中にいると、まるで司馬遼太郎さんの頭の中を覗き込んだような、小宇宙の中にいるような、そんな錯覚に襲われます。(たまたま今月五月、友人の結婚式で京都に行く折、再来訪してきます)



そして、たとえば司馬遼太郎さんがあとがきで触れていた『シュテファン・ツヴァイク』の「人類の星の時間」を司馬さんの書棚で見つけたときは、「あぁ、あのあとがきの本か」と言う感想と共に、「あぁ、この本は日本でも読めるんだ。今、読みたい」と思ったものです。読みたい本ばかりでした。



人類の星の時間 (みすずライブラリー)

人類の星の時間 (みすずライブラリー)





思い起こせば、『坂の上の雲』にめちゃくちゃはまり、広瀬武夫秋山真之の留学時代を研究した島田謹二氏の研究資料も買った記憶があります。久我が大好きで大好きでしょうがないあの頃のロシアに広瀬武夫は渡り、またイギリスにも滞在しています。









最近買った『図説イングランド海軍の歴史』を途中まで読んでいますが、文中には秋山真之が私淑したアメリカ海軍アルフレッド・マハンへの言及もあり、いろいろなものがいろいろなところでリンクしていて、迷子になりそうです。



図説イングランド海軍の歴史

図説イングランド海軍の歴史





前述の『人類の星の時間』には、久我が大好きなドストエフスキーに捧げられたテキストや、メイドさんを育てた?音楽『メサイア』にて書きましたが、作曲家ヘンデルの話も出ています。この繋がりで、2005年にはイギリス旅行時、ヘンデルの関わった孤児院(予定6:Foundling Hospital)にも行きました。



作品という結果だけではなく、そのプロセスで使われた資料も知りたくなる、その繋がりでどこまでも広がっていく情報の海におぼれていく自分の病気は昔からあったみたいです。そして今回、森薫先生の書斎を拝見し、同じように、「あぁ、この本を読んでみたい」と思い、早速AMAZONで注文しました。



Victorian & Edwardian Fashions for Women, 1840-1919 (Schiffer Book for Collectors)

Victorian & Edwardian Fashions for Women, 1840-1919 (Schiffer Book for Collectors)





やばいです。文化について、資料本について、もっともっと教えて欲しいですし、話をしてみたいです。



しかし、友人の本棚に意外な本を見つけて驚く、ということがありますが、個人的に驚いたのは「ほり・のぶゆき」先生のコミックスがあったことでしょうか。杉良太郎→「江戸の黒豹」→『江戸むらさき特急』。



森薫先生ファンに強くオススメします。『江戸むらさき特急』ではなく、この雑誌を。







幸村誠さんの同様の特集もあって、そっちも劇的に面白いです。同じイギリス。時代が違いますが、作家さんがどのようにコミックスへ仕上げていくかの光景は、大好きです。映画のメイキング映像も好きなんですよね。



高エネルギーを貰いましたが、貰いすぎて、作業が進みません。