ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

数字と想いで振り返る、同人活動(実質10年目)

2001年12月に初めて委託してから、次回のコミケで同人イベント参加(委託込み)が40回目を迎えることになりました。


イベント参加回数



コミティア:19回
コミケ:14回
帝國メイド:3回
コミケットスペシャル4:1回
COMIC1:1回
コスチュームカフェ:1回
SweetMaidGarden:1回


年4回開催のコミティアに一番参加していますね。しかし、年2回開催のコミケとあまり変わらないのは意外でした。



傾向として「ジャンル効果」があるのは「コミケ」「帝國メイド」「SweetMaidGarden」で、「コスチュームカフェ」はコスプレイベントっぽく二度の参加はしていません。COMIC1はオールジャンルですが、大手のサークルを買いに来る人が多すぎ、マイナーサークルには辛い場所でした。



コミティアは11月に参加できれば20回目になりますが、地味に畑を耕し、種をまく感じですね。「ジャンル効果」というある種の支援効果がない中、試行錯誤の連続でしたが、だいぶ落としどころが見えてきました。


制作した同人誌

01:2001年12月 1巻:『貴族とその屋敷』:絶版
02:2002年12月 2巻:『貴族と使用人(一)』:絶版
03:2003年08月 外伝1巻:『Victorian Life Style Vol.1』:絶版
04:2003年12月 3巻:『貴族と使用人(二)』:絶版
05:2004年08月 外伝2巻:『Victorian Life Style Vol.2』:絶版
06:2004年12月 4巻:『貴族と使用人(三)』:絶版
07:2005年08月 5巻:『使用人の生活風景』:絶版
08:2005年12月 6巻:『使用人として、生きて』:絶版
09:2006年08月 7巻:『忠実な使用人』:絶版
10:2006年12月 8巻:『この倫敦の、空の下で』
11:2007年08月 『ヴィクトリア朝の暮らし』ガイドブック:絶版
12:2007年12月 『MAID HACKS』
13:2008年08月 『英国メイドの世界 ヴィクトリア朝の暮らし総集編』:絶版
14:2008年12月 9巻:『ヴィクトリア朝の暮らし 終わりの始まり』
15:2009年08月 『英国執事の流儀』


総ページ数はそろそろ2,000ページぐらい、いきますかね?



総印刷数は今度の新刊で、多分1万冊に達します。


同人活動を通じて得たこと・意識していること

同人活動を通じて、なかなかできない経験をさせてもらっているなぁと思います。社会人スキルを同人活動に使い、社会人経験に追加できそうな経験を同人活動で意識的に積む、という効果もあるでしょうか。



こんなに長く続くとは思っていませんでしたが、「長く続ける努力=無理せず続けられる環境作り」をしているのも大きいです。基本的にひとつのことをひとつの目的でしたとしても、「それ以外に何か効果はないの?」と自問するようにしています。これがきっかけで英会話もやりましたし、学会にも参加することになりました。



同人誌制作であればお金の管理から頒布計画、印刷所や委託書店との連携、デザインをしてくださる方や絵師の方とのコミュニケーション・ディレクション、そして可能な範囲でのマーケティング(興味のない人に無理に買ってもらう努力ではなく、自分の本を好きそうな人に少なくとも気づいてもらえるようにする努力)を考えていくのも、楽しいプロセスです。



昔、『7つの習慣』を読んだときは「Win-Win」を読んで「まぁ、そうなんだろうけど」と思ったものですが、今はなるべく、自分の同人活動の関係者が「得」をするように自然と考えています。少なくとも、自分が頑張って成長していければ、関わる人が得るメリットも増えていくはず、と思っていますので。



司馬遼太郎さんが描く坂本竜馬は、「理」(理想・理論)ではなく、「利」(利得・利益)で人を繋ぎました。山本弘さんの描く『詩羽のいる街』の詩羽も同じです。今の久我にとっては、「自分ができないことは、人にお願いする」=「他人を必要とする」ことが、大切なのかと思います。人がいないと何もできません。でもそのおかげで、支えてもらえています。一方的に助けてもらうのもなんなので、何か支えてくれた人が得する「機会」を作れないか、そういうふうにできないか、というのは常に考えています。



少なくとも、絵が描けないので、絵を描ける人の才能にはいつも敬意を持っています。他人が自分と違うから、そういう繋がりが好きなんでしょうね。同人では、それをいつも自覚します。



そして、どうしたら自分が魅力的だと思う対象を、伝えられるか?



本は読者がいて初めて成立するものです。どんなに自分が絶対の自信を持っていても、客観的にもその価値があったとしても、読まれなければ評価もされません。それだけに、読者との出会いを考える接点作りの大切さは同人イベントで学びましたし、ウェブにおける認知効果の大きさ、そして参加し続けることで作られるいつもお会いする方たちとの信頼関係のようなものの大きさなど、学ぶことばかりです。



もちろん、この考えに至るまでには数多く失敗しました。しかし、失敗を経験でき、それを修正しようと努力できるのも同人活動が「自分が主体的に動かないと、何も始まらない場」だからではないでしょうか? 人にやらされているわけではなく、自分だけが責任を持つ機会は、同人活動で最も貴重なもののひとつだと思います。



そしてこれも、「自分の同人活動」についての言葉です。他のジャンル、他の制作プロセスの方にはまた違った見方や経験があるはずです。本を作るノウハウも大切ですが、「作り続けられるノウハウ」、それこそ「同人活動の流儀」的な本はちょっと興味ありますね。