ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

雑誌『Fellows!』別冊「Swimsuits Fellows! 2009」の方向性は同人アンソロジー

以前、書店配布の付録として「メイドFellows!」という別冊がつきました。



あれは、この実験だったのでしょう。



Swimsuits Fellows! 2009 (BEAM COMIX)

Swimsuits Fellows! 2009 (BEAM COMIX)





テーマをひとつ決め、所属の作家に普段と違うものを描いてもらう。参加する作家の数が多ければ多いほど、個々の作家のページ数は少なく、作業量は減ります。その上で、作家ごとにファンがついていれば、購買層も増えます。



どこかでみたことがあると思ったら、『げんしけん』の原口商法?です。有名作家を集め、数ページ寄稿してもらい、作家が個人で本を作るよりは手軽に、大きな売上げを築けてしまう、という考え方です。(知らない方はぐぐって見てください)



Fellows!』の場合、ネームバリューのある作家は限られていますが、それでも雑誌の購買層はほとんど知っている看板作家目当てて、買うことになるでしょう。



Fellows!』はこれが成功すれば、秋にはなんでしょう、運動の秋で「体操着」ですかね、冬は「クリスマス」、春は入学式で「制服」、そして来年の夏も「水着」とテーマ設定を行い、普段のコミックスとは違った売り方で収益を上げるモデルを作れるのではないでしょうか?



作家:ストーリー性が不要、普段と違うことを楽しめる、新しい読者に出会える

読者:好きな作家の普段と違う一面を楽しめる、知らない作家に出会える

出版:そんなに手間を掛けず収益を上げられる、作家にファンがいれば期待値が設定できる



これはリスクヘッジになると思います。本編のストーリーが外れても、他の角度で作家の方が活路を見出す可能性も出てくるのです。(『メイドFellows!』で意外とはまっている作家の方がいたように)



要するに、軸となるテーマが「二次創作」(同人アンソロジー)なのか、「水着」(制服路線?シーン路線?)なのかの違いぐらいではないでしょうか? どれぐらいの部数を見込んでいるのか分かりませんが、以前から感じていた『Fellows!』の同人らしさが、より強く感じられました。



錯覚かもしれませんが、続くならば、面白い試みですね。



あんまりワンパターンでは読者離れが進みますが、以前読んだ竹熊さんの「街のパン屋」で収益を上げていくには、これと似たことを小規模で行うのもひとつの答えなのではないかと考えました。そういうことを考えていた時に、この雑誌の企画を見て、「あ、『げんしけん』」と思い至りました。



もちろん「戦国武将」とか、「未来」とか、「ファンタジー」とかもできると思うんですよね。もしかすると着想は同人誌即売会コミティアの部活動「メイド部」「眼鏡部」「歴史部」「百合部」なのかもしれません。


2009/08/01

Fellows!公式を見たら、次の付属は「ロボットフェローズ」とのことで。ニッチ過ぎるものは無料冊子、売れそうなものは独立、でリスクヘッジですかね? 新しい読者との出会いを生む点で、面白い試みです。