今回の出版、校正で時間がかかっています。06〜07月予定でしたが、多分07月で進んでいくと思います。このところ、担当編集の方とも終わりに向けた話が出来るようになっているので、あともう少しです。
校正で時間がかかっているのを何度もブログで伝えていますが、分量の膨大さに加えて、根本的には同人からプロという「伝え方・意識」の部分で、自分に溝があったために、設計図に問題もありました。
校正にはいくつかの段階があり、文字や正誤関係だけではなく、指摘を受けたことによって論理的な構成や重複・類似の排除など見直しを行い、伝え方を変えるための書き直しが生じています。同人時代、なるべくエピソード数を増やしたり、面白そうなものを並べていったり、分かりやすさを優先して大分類・中分類・小分類の見出しをつけた細分化を行いました。
良かれと思ってやっていましたが、冗長になりすぎたり、その下の分類が増えたり、小分類の種類が増えすぎたり、逆に細分化しすぎる問題が生じました。工業的というのか、ヴィクトリア朝的というのか、役割と機能を細分化して部分最適をしたとしても、全体から見れば流れが悪いことも多いことに気づかされました。
何度か書いていますが、同人イベントでは「読み終わっていない」「読んでいない」との感想もいただいていますし、そういえば「読み終わった」との感想、多分イベントでは、10人からもいただけていないような気がします。そこから、確実に読みにくさがあったのだと、判断しています。その読みにくさや、構造を改修し、流れをスムーズにするのが今回の見直しです。
意識として「歴史を書いている」つもりになって、「編年的・時間の経過」で物事を伝えようとしている部分もありました。しかし、本書は専門家向けの歴史書ではなく、「なぜ、メイドが雇用されたのか」「ヴィクトリア朝で最大化したのか」「その後、使用人の成り手不足が起こって衰退したのか」「どういう仕事があったのか」「どういう生き方があったのか」という部分を分かりやすく、かつ「日本人向け」に作ることが大切なので、担当編集の方や校正の方とのやり取りを通じて、その辺りの意識改革をできたと思います。
以前でも相当、分かりやすさにはこだわったつもりですし、使用人の仕事や職業の構造分類はオリジナリティが高いと思いますが、その作った棚に物を詰め込みすぎた(去年1年間で50冊以上、資料を増強しました)んですね。
大きな修正作業はほぼ終了していて、あとは先延ばししてきた細かい作業(先延ばししただけに仕上げにくい)の詰めをしています。少なくとも、本を仕上げられた後の同人活動で書く文章は、以前よりもより分かりやすく端的に書けると思いますし、1年半以上の期間、随分と勉強になりました。
コミティアでも聞かれた「総集編と講談社BOX版はどう違うのか」についてですが、改訂されるのは全体の80%程度だと思います。テキストだけではなく、図版資料や図表、デザイン、イラストなどでも別物になりますので、ご期待下さい。
総集編は「フットマン」が入っていませんでしたが、講談社BOX版は、一般的な意味での家事使用人を網羅しています。