ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

公式サイト更新&メルマガ発行

送信主が「"ManorHouse Steward"」と、しゃれていますね。



メルマガの内容はかなり濃く、どのようにして出演するメンバーを選んだか、そして『MANOR HOUSE』に登場する「バスソーク」(入浴剤:バスソルトだと思ってました……)の作り方&実践のレポートが載っています。



定期配信されるとのことです。



で、メルマガにでていた「選考基準」での雑談です。



MANOR HOUSE』である姉妹番組『THE 1900 HOUSE』では、選考基準に「家族同士でコミュニケーションが取れている」「テレビカメラがあっても気にしない」「ストレスに耐性がある」などをあげています。三ヶ月もの間、現代から隔離されて、不自由な生活を過ごすのは相当、ストレスになるからです。



MANOR HOUSE』の場合、それがエスカレートします。屋敷と衣装、そして豪華な生活、それを維持する使用人たち。全員が一般応募のメンバーです。「使用人」の立場になった人には、心理的な圧迫感も高くなります。(実際には使用人だけではなく、「階段の上」の人たちにも、すさまじいプレッシャーがかかりました)



さらに専門職(シェフやレディーズメイド)については実際にスキルのあるメンバーを選んだとの事。確かにこうした技能職は付け焼刃では無理です。ただ、逆にプロフェッショナルな人がプロフェッショナルで無い部下を持つと不幸にもなります。



部下の成長までの時間を許容できないと、崩壊する、という事例が『MANOR HOUSE』では起こりました。シェフは、「部下は絶対服従・彼を支えるスペシャリスト」であることを望み(当時のスタンスとしては正しい)、周囲との軋轢を生みましたから。



こういうところでも、「百年前の使用人」の生活を再現、と言いながらも、現代的な「上司」「部下」というマネジメントの問題が生じるのです。昔は他に仕事が無かったり、選択肢が無かったりと逃げ道は少なかったですが、人が人と働くときに生じる問題に現代も過去も、関係ないようです。



『MANOR HOUSE(マナーハウス)』公式



もとなおこ先生もブログで『MANOR HOUSE』とメルマガに言及/motonaokoblog


『Sweet Maid Garden』〜主催『White Brim』様サイト閉鎖

久我が最も楽しく過ごせたメイド同人イベントは、2003年11月に開催された『Sweet Maid Garden』です。2003年当時、今ほど劇的に普及していなかった『エマ』『シャーリー』という森薫先生の作品と、創作メイドに限ったオンリーイベントでした。



時期が早すぎたかもしれないように思えますが、決してそうではありません。最高に、盛り上がりました。当時も今も、この辺り、クラシカルなメイドを扱ったオンリーイベントはほとんど存在していません。(『帝國メイド倶楽部』がありますが、広義でのメイドなので、また方向性は違っています)



ホームページでの事前サポートと盛り上げ。

当日の案内とイベント運営。

メイドさんのコスプレ。

我々、メイドサークル。



そして、クラシカルメイドを愛する読者の方々。



欠けてはならないすべてのバランスがかみ合い、会場の熱気は一種異様なものでした。あっという間にあちこちで完売が相次ぎ、どのサークルも予想していなかったような活況を呈したのです。



すべてにおいて、高水準。

本当に、魔法でも使ったような。



それは主催の方々の配慮が行き届いた結果でありつつも、同時に、サークル、参加者、すべての呼吸があったような瞬間でした。正直なところ、あれほど満ち足りて過ごしやすかったイベントは、他にありません。



理由は存じませんが、2003年の開催一度きりで、以降、イベントが開催されることはありませんでした。サークルとしては残念なことですが、あの場が一度でも存在したことに、ただ感謝しています。



2003年11月当時は『エマ ヴィクトリアンガイド』発売の頃で、ちょうど『エマ』も大きな盛り上がりを見せ始めていたと思います。また、自分自身、「家政系メイド」の資料を充実させた3巻を作っていた時期で、大きな手ごたえを感じた分岐点にもなっています。



久我の記憶において、忘れられない至上のイベントです。



この度、サイトが閉鎖されるとのことで、お疲れ様でした。



『White Brim』様



メールをお送りしましたが、メール容量がいっぱいとのことで届かず、日記に書かせていただきました。奇跡のような「場」を、ありがとうございました。