ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

『Country House Life』

30日〜2日と風邪で寝込んでいますが、忙しい毎日だったので、何も出来ないのはちょうどいいのかもしれません。読書をしたり、ネット接続を時々はしていますが、1時間以上は集中力が続きません。



そんな中、読みかけだった『Country House Life』を再読しています。この本は筆者の方が「マイナーな単語」を選択するので読みにくく、あまり好きではなかったのですが、使用人を扱うパートに来ると、読みにくさはそんなに感じなくなりました。単純にその分野に関しての感度の差でしょうか?



肝心の内容ですが、多分、使用人に関心を持つ人の7割は目を通している?和書『英国カントリーハウス物語』(『英国ヴィクトリア朝のキッチン』と同じ出版社)のP109にある、使用人の四分類の原典になっていました。




 ジェシカ・ジェラードは、サーヴァントを四つのタイプに分けている。



一、別に仕事をしていたのをやめたか、離婚ないしは配偶者の死亡など、生活環境が変わった人たち。

二、館での務めを生涯の仕事とするキャリア・サーヴァント。

三、貧しい独身者か、未亡人になって生活費を稼がなくてはならない上流・中流の女性。

四、不熟練労働者。

『英国カントリーハウス物語』(彩流社杉恵惇宏/著)


和書では紹介程度ですが、さすがに原典だけあって、転職事情のエピソードは面白いです。上級使用人の転職事情、彼らが主に使用する新聞広告やエージェンシー、上流階級での個人的なネットワーク、それに上記三に該当する、「上流・中流」女性の為のエージェンシーなど、当同人誌ではふれていなかった情報が出ています。



その辺りは補っていこうかと思いますが、庭師の転職事情や「結婚できる使用人・できない使用人」といった調査もしてあり、いい内容です。



尚、この英書の存在は『制服学部メイドさん学科』さんの同人誌・参考文献で知りました。『制服学部メイドさん学科』さんというと、「鏡塵=狂塵」さんのイラストの大ファンでしたが、今もメイドさん関連で同人活動をされているのでしょうか? 気になるところです。