ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

『Country House Life』(ASIN:063115566X)

長々と苦戦していた同書の読書が終了しました。基本的には適当に流し読みをしています。重要そうなところを抜き出して、どこに情報があったのかを覚えておき、詳しく文章を書くときになって、そこを重点的に読み込むという方法です。英語が嫌いではないものの得意といえるほどでもないので、まだ読書の開始には覚悟がいります。



この本は『制服学部メイドさん学科』さんの同人誌の参考資料で紹介されていたものです。屋敷という上流階級を舞台に、主人、子供、使用人の生活が詳しく書かれていますし、エピソードも多いです。



とはいえ、1914年までしか扱っていないので、20世紀の栄枯盛衰については他の資料に譲っています。



Life Below Stairs in the Twentieth Century



この勢いで『Life Below Stairs in the 20th Century』(Pamela Horn)に続きたいところですが、そろそろ夏の関連本を読まないとまずいので、今度は同じPamelaでも「マニアック路線(とはいえ既にこの人のファンですが)」の、Pamela Sambrook女史の最新作、過去の日記でもふれた『A Country House at Work』を読み始めました。



A Country House at Work: Three Centuries of Dunham Massey



Sambrook女史はフィールドに近い研究者というのか、実際の屋敷に関わっての仕事が多いように思えます。今度の本はあるひとつのカントリーハウスの歴史を残された帳簿・請求書・家計簿などから見ていくという、面白いものです。導入部分でも、「私は伯爵や伯爵夫人の視点では書かない。執事とハウスキーパーの視点で書く」と明言しています。



冒頭から、このカントリーハウスがいつ建てられ、どのタイミングで誰が改築し、どのような部屋が増えたのかという年表までついています。使用人の賃金に関する資料は欠損しており、同時代の資料についても不足していると書いていますが、原資料を惜しみなく紹介してくれるので、素晴らしいです。



The Country House Servant



『THE COUNTRY HOUSE SERVANT』で出会って以来、この人の視点は大好きなので、楽しんで当時の生活風景を勉強できそうです。もうひとつ、建築関係でマーク・ジルアードの『The Victorian Country House』も読まなければなりませんが、こちらは前半が総体的な、屋敷や生活の知識で、後半が数多くの屋敷の紹介になっています。



そういえば『エマ』森薫さんの日記で、イギリス行きが書いてありました。生で屋敷を「体感」した後の作品に、期待したいですね。カントリーハウスは建物だけではなく、周囲の広大な自然を含めてのものなので、自分自身もいつか、行きたいものです。また、会食で対談した方の『「インテリア」で読むイギリス小説』は面白そうです。玄関につくまで延々3時間の話は、「こち亀」の中川の家を思い出します……





・今日のメイドさん



『Country House Life』には、「屋敷の中で出会ったメイドを自分の屋敷のスケート場に連れて行く」貴族?の話がありました。屋敷に住む人はやることが違います。