ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

『A Country House at Work』

久々の日記です。コミケの後、戻ってきたダンボールに殺されそうになりつつ、「冬は新刊は作るけれど、既刊を刷らなくていいのかなぁ」と思っている久我です。仕事が忙しいにもかかわらず、土日を遊びまわっており、かなり駄目駄目な感じになりつつありますが、ようやく読書を再開しました。



A Country House at Work: Three Centuries of Dunham Massey

CHESHIREにあるDunham Massey(National Trust所有)というカントリーハウスの歴史を追いかける『A Country House at Work』、やはり面白いです。1章ではだいたい屋敷の使用人エリアにどんな部屋があるのかという復習みたいなものですが、2章は屋敷で雇っていた使用人の賃金の記録から見る、「住み込みの使用人と季節労働の使用人」の比率、なんていうあまり見たことが無い視点での情報が書いてありました。



資料が残っている年代が1810〜20年代で、ヴィクトリア朝以前なので参考程度にと思っていますが、意外と季節での雇用が多く(主人たちが首都に出ているシーズンではなく、カントリーハウスに戻っている期間に雇う)、中にはその技術性から、「住み込みのハウスメイドよりも地位が高い、短期間契約のハウスメイド」(1stと4thが住み込み、2ndと3rdが短期)というような記録も残っており、比較的、流動性が高かったのではないかと思わせる話が綴られています。



他に使用人のヒエラルキーごとに、あてがわれた部屋の内装や装飾、ベッドに使われた材質などの説明もあり、かなり面白い内容です。



そしてこの屋敷は数少ない、「ランド・スチュワード」(貴族に代わって領地とその農地を管理する使用人)と、「ハウスキーパー」「ハウススチュワード」がおり、次の章からは各責任者の視点での使用人の生活描写が行われる、ようです。(これから読み進みます)



今のところ、「超マニアック」な感じがしないので、興味のある人にはオススメできます。この作者の場合、あまり信用(情報の精度は非常に高いのですが、気づくと常人には理解しがたい方向に進んでいる)できないのですが、視点が「自分の欲しい情報」に向いている数少ない研究者なので、ありがたい人ではあります。



かつて行った同人誌の設計のままでいいのか? 資料を読む時間はあるのか? といっている傍から土曜日は上京する後輩に会いに、日曜日はコミティアにいくのですが。



そう、時間は作るものです。細々と頑張ります……というか、果たしてこの忙しい仕事環境が続いて同人誌が作れるのか、夏の新刊は「楽しさ」もありましたが、「制作する苦しさ」も出てしまったりと、なかなか社会人で同人を続けるのは大変です。社会人であることで金銭的には特に問題は無いのですが、こういう環境でも続けられる自分でありたいです。



毎回毎回ぎりぎりまで全力を出し切って、「超回復」っていう感じがしています。