NHK『ポワロとマープル』アニメがつまらない理由を幾つか挙げるとすれば、プロデューサーの錯誤です。以前、どこかのニュース記事で、この担当プロデューサーのインタビューが出ていましたが、「声優を豪華なキャストにする(芸能人・役者)」ことに重きを置いていました。
個人的に、声優のレベルは重要だと思いますし、里見氏の演技も八千草さんの演技も素晴らしいと思いますが、残念なことに、「役者であるところのアニメのキャラクター」のクオリティが低く、キャラの表情が乏しいゆえに声の感情表現を殺しています。またキャラの描き分けも甘く、「やっつけ」的なデザイン、とも思えます。
また、折角現地取材をしているのに、本来あの時代やイギリスが持っている「風景の重さ・重厚感」が一切配慮されておらず、まるで現代を舞台にしたアニメさながらの背景描写は、イギリスにいるような「世界の匂い」を感じさせません。絵のクオリティでは「ハウス名作劇場」の方が、きちんと「異国らしさ」を伝えていました。
プロデューサーの最初の考えが誤っており、声優を揃えても、その舞台・表現そのものが高いレベルにはないので、原作の持つ魅力や日本人が抱くイギリスへの憧れを、伝え切れていない、それが面白さに繋がらなかった、というのが個人的見解です。時代考証では有名な教授を起用しているそうですが、その時代背景が画面上に伝わらなければ意味がありません。
子供向けに放送している、と言われればそれまでですが、子供の多くは裏の時間帯『ワンピース』を見ているでしょう。どうにも対象を絞りきれなかった、原作を読んでいる人を想定していたら作りが甘すぎる、新規の人を開拓するには「魅力的なイギリスではない」、そんな誤りがあったのではないでしょうか。
昔ながらの生活を表現するならば、『DASH村』の方が面白いですし……
追記
どうしても気になったのでひとつだけ。
雪の上に寝るのはありなのでしょうか? 寒さで震えるか、皮膚を傷めると思うのですが……
そういうところを含めて、何か作品として物足りません。