イギリスといえば?
我々の年代にとって、イギリスといえば「ロビンマスク」です。ロンドンの観光名所「タワーブリッジ」を必殺技にする、イギリスきっての超人です。ところが、イギリスに行くと決まった時、友人二人は口を揃え、こう言うのです。
「イギリスといえば、ネプチューンマン」
ネプチューンマンがケンカマンだった頃、絶望して、テームズ河(原文ママ)に飛び込んだこと、川底でビッグ・ザ・武道に出会い、そこでネプチューンマンになったこと……久我は言われるまで、すっかり忘れていました。
そんなある日、友人がヤフオクでネプチューンマンのフィギュアを見つけました。
「6000円か、高いよね」
「そういえばそんなフィギュアがどこかで売っていたっけ……」
運よく、ヨドバシカメラにいたネプチューンマンのフィギュアを入手。店にはビッグ・ザ・武道もいたのですが、サイズも値段も本当にビッグだったので、止む無くあきらめました。
そして、我々はネプチューンマンと共に祖国イギリスに渡りました。
麗しのテームズ河
ちょうどその日の午前中は市内観光のオプショナルツアーを利用していました。ロンドンの名所をあちこち見学できるコースで、テームズ河に行く準備は整っていました。観光バスを下り、テームズ河をはさんで、対岸の国会議事堂を見ることに。タワーブリッジの上で撮影する話もありましたが、さすがにそれはやりすぎだろうと(英国に持ち込んだ時点で既にやりすぎですが)思いとどまりましたが、最も美しく撮影できた国会議事堂の写真が、これだけというのが泣けます。しかも、よく見ると、ウェストミンスター大聖堂の二本の尖塔まで綺麗に写っているではないですか。
しかし、悲しい話が、この後に続くのです。
悲しみのバッキンガム宮殿
撮影を終えた満足感に浸りながら、その後、バッキンガム宮殿へ向かいました。ちょうど時期がよかったので、宮殿内部が公開されていました。チケットを買い、いよいよ宮殿内部へ、と思ったその時。
エックス線で手荷物をスキャンされた久我を、受付係の妙齢の美しいイギリス女性(金髪・青い目・『ハリー・ポッター』に似た制服着用)が、呼び止めました。
荷物の中身を確認したい、というのです。
特に見られて困る荷物なんて入っていない、と思ったものの、即座にカバンの中身に気づき、動揺します。
見て欲しくはない、見ないでくれ、……しかし、その願いは当たり前ですが、空しく潰えました。
若いお姉さんはカバンの中を丁寧に調べ、布袋の中に入っていたネプチューンマン様を見つました。その手は止まり、久我の顔を見てから、しばしうつむいて。
ぷっ。
笑っていました。
もはや、どうにもなりません。
荷物検査は念の為、もう一度、行われました。お姉さんはもう一度、控えめに袋の中身を見て、かすかに微笑み、鞄を返してくれました。
イギリスで見た、最高の笑顔でした。
悪夢再び?
それから別の日に、アスコット競馬場へ行きました。友人は「もう一度、ネプチューンマン様を連れて行こう!」と言っていましたが、結局、ホテルに残留させました。その日、アスコット競馬場の入り口では、宮殿にいたお姉さんとは正反対の、屈強な警察官が荷物検査をしていました。今思い出しても、あのときの決断は正しかったと、思うのです……
こんな感じで、友人もこっそりコミックス『シャーリー』をイギリスに持ち込んだり、裏では楽しんでいました。
『キン肉マン』を知らない方には、ごめんなさい。
ということで、旅行記は通常版に戻ります。