ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

メイド部。原稿入稿完了+部分的に公開

「メイド部。」の合同誌に参加することとなり、短編を書くことと相成りました。合同誌参加は二度目です。一度目はきっしーさん主催の『M.O.E.』、コミケットスペシャル4の時に発行されたものです。



今回の企画は「メイド部。」主催の優里さんの発案で、どのような同人誌になるのか、楽しみです。創作そのものは書き始めるタイミングがなかなか掴めず、時間を要しましたが、ようやく原稿が完成しました。



『春、ひとり窓際で』(Under the Blue Sky)



予定していた『First Place』は止めて、出入りの激しい職場に勤めるメイドを描きました。主役は、何度か登場させている、サリィ・ブライドヘッドです。



第十四話 小さな決意の主役の子です。他に5巻でも出ていたり、7巻でも出ていたり、久我のお気に入りです。




『春、ひとり窓際で』(Under the Blue Sky)

「アリス……元気かな?」
 視線の先にある二つ並んだ寝台。片方は、綺麗に片付けられている。見ないようにしても、いつの間にか、サリィの目はその空白へ吸い寄せられていく。
 一昨日まで、そこにはアリスがいた。
 同い年で、わがままで、食い意地が張っていて、負けず嫌いで、でも笑顔が素敵で明るかった彼女は、サリィに相談もしないままに新しい職場へと飛び出していった。
「ごめんね」
 その一言を残して。
 いつまでも一緒だと思っていたのに。


 仲良くなって、息が合って、気持ちのいい仕事が出来ると思ったら、いなくなってしまう。近いうちに、また新しいメイドが来るけれど、また最初から、やり直し。
 注いできた時間が消えていく。自分だけが取り残されたような孤独感に、押しつぶされそうになる。
 今までに何度も、この気持ちを味わってきた。
 理由はまちまちだが、ただ一つ言えることは、このミルワード家は給与が安く、屋敷も古ぼけて、社交とも縁遠く、若い使用人にとっては経験を積める以外、あまり魅力が無かった。
 だから、経験を積めば、去ってしまう。
 魅力的な、仕事場を求めて。
「――あぁ、お茶が飲みたい」
 かすれた喉から、そんな呟きが、漏れた。(同人誌に続きます)



最近、ちょっとこの傾向が増えているので、もうちょっとバカみたいで、弾けたものを書きたいなぁと。コミティアまでに何か作りたい所存。








とのことで、参加表明されたい方はサイトの方へ。