ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

『英国メイドの世界』スケジュール:6月目途で進行中

編集部に打ち合わせに出かけて進捗を確認してきました。



発売時期を気にしている読者の方は少ないと思いますが、春予定から初夏ぐらいになりそうです。


前回報告と遅れの原因はあまり変わらず

進捗としては、3月半ばに編集部の方から公式に『英国メイドの世界』の出版を発表してもらうことになりました。早期に発売しているつもりでしたのでリリースを前倒しでブログにて行ってきましたが、分量の増加に伴ってなかなか終わりが見えてきませんでした。ようやく編集部が発表できるレベルにまでは仕上がってきました。



最悪の場合は7月ですが、そうならないように頑張ります。編集部からリリース(メルマガか公式サイトで発表)があり次第、再度、お伝えします。



発売時期が当初予定の4〜5月から遅延するのは、品質を担保するためです。作業に時間がかかる理由は、初期の原稿の分量が多くて翻訳校正箇所が多い(翻訳校正の手間と時間)ことに加えて、今とりかかっていただいている男性使用人の書き直しが膨大になってしまったことによります。



男性使用人の職種を私が同人誌で書いたのは2006年08月で、同人版『英国メイドの世界』には掲載されていませんでした。そこで書き直しを去年から行ってきましたが、男性使用人の話と彼らが扱う対象の背景を広げ過ぎて(ガーデナー、ゲームキーパー、コーチマン・グルーム)、大変な分量にしてしまいました。



さらにその帰結として削る作業や赤入れの量が多く、「原稿の打ち直し」でより時間がかかるという申し訳ない事態に陥ってしまっていて、主に久我のアウトプットのレベルが問われていることによります。



編集の方とは「ここまで来たならば発売時期の順守より品質の保持を」、というところでお話ししていますし、5月のコミティアでは発売前のもっと具体的な進捗を見せられないか、編集の方に相談してみます。



編集部では印刷実物の見本をさわらせていただきましたが(3種類・紙質が異なる)、持ちやすい重さの紙を選ぶ方向です。写真、撮ってくれば良かったですね。久我はあぁいう「完成予想図」として、白紙の本が作られるとは知りませんでした。同人版と同じぐらいの分厚さになるかもしれませんが、軽いです。


具体的な進捗

今のところ、使用人の職種19のうち17まで「流れ1:翻訳校正」は完了し、残り2職種のうち1職種のガーデナーが手元に来ています。(最後はゲームキーパー) その後、第一章「使用人の歴史」第二章「使用人として働く」第五章「使用人の衣食住(仮)」最終章「使用人のいた時代(仮)」「コラム」の部分を、3〜4月にかけて詰めていきます。



並行して「流れ2:図版資料を含めた校正(翻訳校正以後の内容精査)」も進んでいて、こちらの提出分は19職種中7職種で、今手元に3職種あって作業中です。新規に書く原稿は概ね終わっていますが、全体が揃ったところでバランスを見た調整が入ります。



同人時代にはできなかったレベルで、多くの方にコミットしていただいて作業をしており、内容についてはご期待下さい。正直なところ、同人の体験からすると、「いったいいくらかかっているのか」というぐらいに人的コストがかかっています。個人ではこのレベルの人たちに仕事をお願いすることはできないでしょうし、大きな出版社という取引の中で集まった才能を、たまたま自分の書籍のリソースとして割り当ててもらえる点で、最善の出版社に出会えたと思います。



――先の話をすると楽しいので現実逃避していました。地道に校正作業を続けます。