ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

『半身』

さて、先日は酷評というか、「期待しない」と書いた『半身』、あっさり読み終わりました。それだけ物語に引き込まれました。感想は後日というか、明日にでも書きますが、この時代背景が好きな人ならば損はないです。逆を言うと、この時代背景に興味のない人が読んで面白いかといえば、そうでもないと思います。個人的には『五輪の薔薇』より上の評価です。



半身 (創元推理文庫)



現代人が描くこの辺りの小説はほとんど読んでいません。かろうじて『ドラキュラ紀元』(どちらかというと作家が好きだったので)、『五輪の薔薇』、そして今度の『半身』でしょうか。あの時代に生きた作家の本が読めるので、結局、現代人が描ける内容というと時代背景を借りた「ミステリ」ぐらいなんですね。少なくとも、日本にまで渡ってくるには……その点で時代は少し新しいとはいえ、ミステリ色もなく、執事の一人称というすさまじい描写の『日の名残』は本当にすごいエネルギーを持っていたのだと思います。『侍女』も、現代人が描いていましたね。



ひとまずサラ・ウォーターズは完読したい作家になりました。きちんとメイドさんも出てきます。この勢いで『荊の城』に行こうかと思いましたが、きっと「屋敷+メイドさん」があるに違いない、京極作品を読みます。冬の同人誌は別冊で、「ミステリ小説と屋敷とメイドさん」なんて作りたいですね〜作る人を募集して……

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