ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

スカラリーメイドに突入中

予定で考えれば、今日明日で終わらせないといけませんが、今のところ大枠のところと、どこにどんな資料があるのかの再確認で終わりました。「スカラリーメイド」は洗い場を担当する、だから洗い物をしていた、では話が面白くないので、かなり膨らませています。『英国ヴィクトリア朝のキッチン』で皿洗いの話がありますが、そのあたりだけではオリジナリティが無いです。



そこで、二年ぐらい前にたまたま入手した(そして初めて通信販売した英書の古本)『THE COUNTRY HOUSE KITCHEN』に依存して、スカラリーメイドの項目では「カントリーハウスにおける肉類や食糧の保存」などを扱います。スカラリーメイドは皿を洗うだけではなく、屋敷に入ってくる肉類の下ごしらえ(動物の皮をはいだり、羽根をむしったり、野菜の皮をむいたり)をしますから、こうした視点から、当時の料理事情に光を当てます。



キッチンメイドでは、「カントリーハウスではどのような品物が消費されていたのか?」、「どこから何がどれだけ入ってきていた?」という視点で、屋敷の生活をあぶりだします。このあたり、既に出ている和書ではほとんどありませんし、自分として大好きな「生活の視点」なので、今回の新刊の中心にすえています。単純なメニュー紹介だけは、作りたくなかったので。



これ以外に、資料をいろいろ調べていると、当時の料理器具の一覧なども見つかりました。こうした「料理器具一覧」や「ヴィクトリア朝の旬の食べ物」(知識がないと小説中で料理による季節感を表現できないので。もっとも、読者の方にも無いのですが……雰囲気の問題ということで)は、「コスチューム・カフェ13」の配布物にすることにしました。関心のない人にはまったく面白みの無いものですが、関心のある方は寄ってみてください。冬の新刊でそのまま使うとも限りませんが。とりあえず、20〜30部ぐらい、無料配布すると思います。



相変わらずマニアックというか……自分で小説を描きたいので、その当時の資料を調べていたらすっかりはまってしまい、解説ばかりをここ数年しています。資料が揃ったからといって面白いものが描けるは限りませんが、自分が作った資料本がどこかで誰かの小説なりマンガなりの資料になっていたら、嬉しいですね……創作よりも、「わかりやすく伝える解説」の方が向いているとはよく言われますが。この同人誌を読んで何かヴィクトリア朝メイドさんの「創作」をされた方にとって、第一の参考文献にあげてもらえるよう、頑張ります。