身分違いの結婚
ひとりはハナ・カルウィック。紳士アーサー・マンビーと結婚したメイドです。彼女はアーサーの影響を受け、日記や手紙を残しています。同じく、アーサーも手記を残しており、「メイド」「メイドと関係を持った上流階級の紳士の視点」、その双方が非常に興味深い資料になっています。
『Love & Dirt: The Marriage of Arthur Munby and Hannah Cullwick』
今までは、この1冊しか紹介していませんでしたが、夏の同人誌『ヴィクトリア朝の暮らし7巻 忠実な使用人』では、もう一冊の資料を使いました。
それは、「同時代、メイドと結婚した貴族の『事件』」を知り、その姿に自らを重ね合わせた「アーサー・マンビー」の日記です。
『MUNBY MAN OF TWO WORLD』
『Love & Dirt: The Marriage of Arthur Munby and Hannah Cullwick』が手記を織り交ぜつつも、ふたりの人生を物語的に描こうとしたのに対して、こちらは手記中心であり、また世界で、ほぼ最初にマンビーを取り上げた本です。
筆者であるDEREK HUDSON氏はアーサー・マンビーに興味を持ったものの、資料がほとんど見つからず、大英図書館に問い合わせたところ、ケンブリッジにあると知りました。そこにはマンビーの親族の教授がおり、マンビーが残した資料があったのです。
『Love & Dirt: The Marriage of Arthur Munby and Hannah Cullwick』が手記を織り交ぜつつも、フェティシズムを描き、ふたりの人生を物語にしたのに対し、こちらは手記中心で、正統的な資料に仕上がっています。
古本ならば500円ぐらいで買えます。