ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

マンガのドラマ化は「技術の表現」を何とかなる?

友人より、「『とめはね!』の書道の部分って、どうするですかね? 映像差し替え?」と問われて、考えました。書道だけではなく、柔道部に所属し、全国レベルのヒロインの柔道映像はどうなるのかと。



結論から言うと、とても残念な映像化になる気がします。



柔道がメインではないですし、書道に関しても設定上は主人公もヒロインも素人なので特に問題ないかもしれませんし、コミックスに出てくる文字自体も、河合克敏先生が選んだ人に書いてもらったものです。



しかし、「技術の表現」(特にフィクションでは秀才や天才や達人レベルが多い)は求めにくいです。



例えば全国レベルの柔道選手の動きを、素人の俳優が演じられるでしょうか? 柔道のドラマ実写化は数年前に何かあったのですが、ひどい出来でした。武道は特に難しいと思います。



すぐ連想したのは、『鹿男あをによし』です。



会社の先輩から『鴨川ホルモー』『鹿男あをによし』を借りてから半年後?ぐらいに、『鹿男あをによし』のドラマ化の話があり、見ました。ヒロインは今、NHK朝の連続ドラマに出ている子です。



鹿男あをによし』の作品で好きだったのはヒロインの高校生の剣道のシーンでした。しかし、映像では頑張っていたものの、小説にあった迫力は緊迫感と重さが伝わってきませんでした。



時代劇は実際に経験者ではないにせよ、達人ではないにせよ、迫真の演技というのを感じることが多いです。ただ、あれも熟達した俳優を見る機会が多いので、経験の差になるでしょうか? 或いは素人を相当なレベルだと思わせる撮り方でしょうか?



そこで思うのが、「どうしてアニメ化しないの?」です。アニメは表現手段として「人間が出来ない動き」をできます。動きが激しく、人間が演技をするレベルでは追いつけない「実際の技術における経験の壁」(或いはスピード感)を、簡単に乗り越えます。



コミックスからアニメ化して個人的に好きだったのは、ここ数年では『鋼の錬金術師』や『ブラック・ラグーン』です。動きが激しいアニメほど、コミックスだけでは伝えきれない迫力を、十分に描写してくれますし、宇宙やファンタジーなど撮影できない世界を描くにはちょうどいいですね。



『とめはね!』は制作発表をこの時期にしたので、今からしっかりと仕込んで欲しいですね。むしろ、演技のレベルが高くない若手(高校が舞台なので)の俳優を使うぐらいならば、演技未経験の書道経験者や柔道経験者の人に演技を学んでもらう方が、動きについてはよい「絵」になりそうです。