限られた時間で劇的にインプット&アウトプット中なので諸々、出力できていないものも多いのですが、今は歴史に集中しています。
最近、鬼のようにヴィクトリア朝書籍ばかり読んでいるので、心のスペースが埋まりかけています。自分の英国史理解レベルが上がってきたので、過去に読んで価値を分からなかった和書の意味が、だいぶ理解できるようになって来ました。
オックスフォード ブリテン諸島の歴史〈9〉19世紀―1815年‐1901年
- 作者: 鶴島博和,コリンマシュー,Colin Matthew,君塚直隆
- 出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会
- 発売日: 2009/06/01
- メディア: 単行本
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- 作者: リチャード・D.オールティック,Richard D. Altick,要田圭治,田中孝信,大嶋浩
- 出版社/メーカー: 音羽書房鶴見書店
- 発売日: 1998/06/01
- メディア: 単行本
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- 作者: 川北稔
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1986/01
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- 作者: 角山栄,川北稔,村岡健次
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1992/02
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これらはその一部ですが、楽しいです。
現在の進捗
イギリス史として、使用人の歴史を真面目に勉強し続けている昨今、ようやく20世紀に辿り着きました。同人誌として目指していた『使用人の時代の終わり』はこれをベースにすれば、書きあげられるかもしれません。
冬コミに受かっていたら、刊行に向けて準備します。少なくとも、準備号ぐらいは用意できると思います。
書籍用の原稿としての使用人の歴史は、なかなか描き方が難しく、あまり長くすると読みにくくなってしまうという欠点があり、何を伝えるかを編集の方に相談しつつ、整理中です。知っていることを全部書くと、韓非子になってしまうんですね、というのは冗談としても、咀嚼できないと思うのです。
家を例にすると分かりやすいかもしれません。土台や骨組みや壁紙はこれだけすごいんですよ!というのは住む人にはあまり関係なく、その結果として住み心地や自分が生活するのに必要な環境が整っていれば良いわけです。
専門に向けた研究書ならばすべてを書いても良いのですが、今回は「一見」さん向けに作っています。まず、興味を持ってもらう。そして「使用人の仕事」を伝えることがメインで、歴史を細かすぎるぐらいに書く必要はありません。書いていると超楽しいのですが、この楽しさは世間的にはまだ少ない歴史マニア的なものなので……
むしろ歴史は『ヴィクトリアン・サーヴァント』に書いてあるじゃん、マニアはそっち読んでよ、もう読んでいるよね?ぐらいな話なのです。
- 作者: パメラホーン,Pamela Horn,子安雅博
- 出版社/メーカー: 英宝社
- 発売日: 2005/05
- メディア: 単行本
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冗談抜きで、『ヴィクトリアン・サーヴァント』はすごいです。今更かもしれませんが、イギリスの歴史を学び、関連書籍を読むと、本当にここにしかない情報と視点が、群を抜いています。他書籍でも「女性労働者の最大は女性使用人だった」と出てくるんですが、『ヴィクトリアン・サーヴァント』を読んでいると、比較になりません。
特に歴史関係では、貴重な情報が多すぎるんですね。類書を見つけるのは、なかなか困難です。これを読んでいて尚、使用人の歴史の資料本を書こうとするのですから、覚悟完了です。少なくとも、男性使用人・女性使用人は屋敷の資料の密度が薄く、自分でも描く余地が非常に大きいのですが、歴史は違います。かなり依拠しかねません。しかし、それでも自分が書くのは理由があります。どこを切り口とするのかの構築が重要で、その視点つくりに追われています。久しぶりに、手ごたえがあります。
今回の書籍については、密度と正確性にこだわりつつも、わかりやすさや、足場になることを意図しています。で、そのマニア向けは同人誌として、残そうと。
今、執筆にかこつけて研究していることは、自分の体力をつけるためです。英国史は正直なところ、断片的にしか詳しく無かったですし、ヴィクトリア朝に焦点を絞っていました。しかし、歴史は過去との連続の中で続くもので、使用人がいた職場の変化も、雇用主の境遇も、それを無視しては理解できません。
育てたお米や野菜や買ってきたお肉をテーブルの上に並べて「はい、食べて」というのではなく、きちんと読む人の味覚も楽しませ、栄養も考慮したバランスの良い献立を作り、じっくりことこと煮込んでいるところです。そこのフレームがしっかりできると、後は空白を埋めていくだけになるので、設計図をしっかりと組みなおそうと思います。
イギリス史、面白いです。
そんなところで、『英国メイドの世界』の「使用人の歴史」は200%?以上の書き直しになります。あの時の情報と自分のレベルではあれが限界でしたし、文中にも書きましたが『ヴィクトリアン・サーヴァント』『図解メイド』『エマ ヴィクトリアンガイド』が存在しており、自分であえて書く意味を感じず、長々と整理しきれなかった反省もあります。「全部読みきれない」と感想を下さった方に謝罪をするならば、冒頭にあれを持ってきてしまったことです。あそこで、詰まってしまったのではないかと。
商業版では、そこに素早く辿り着けるように、編集さんの力をお借りしながら、わかりやすさと腹持ちの良さを追求します。そして何よりも、自分が分かっていて書くので、読者の方が味わえるスープは、「どこかで買ってきたお湯で薄めたもの」ではなく、自信を持って「水、材料を煮込んで、精選されたもの」になるはずです、というか、そうします、目指します。厨房見られても大丈夫です。
進捗自体は若干遅れていますが、将来に繋がるところなので調整していただいています。校正原稿がかなりの修正入りで戻ってきてもいるので、そろそろ並行作業を始めますが、バラバラになっている情報を、一度自分の言葉としてつなげていく作業は、快感といえるものですね。大学受験の頃、日本史が大好きだったのでノートは気合を入れて作ってましたが(山川出版社の資料集や、外交文書?資料集とかを利用)、あの時代を思い出します。
だからきっと、今書いているものは、自分にとって財産になるでしょう。遅れないように頑張ります……