ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

『英国メイドにまつわる7つの話の展望』の電子書籍版・販売開始

夏コミで頒布した『英国メイドにまつわる7つの話の展望』を、DLSiteでの販売が承認され、始まりました。



http://home.dlsite.com/work/=/product_id/RJ068698.html



販売価格は同人版と同じ予定でしたが、消費税が加わり、105円となります。


同人版との変更点

・誤植の訂正を行う
・PDF版ということで、印刷時のページ数制限で割愛していた参考資料の詳細を掲載
・出版情報を最新に更新
・PDFにするに際して行間を広げて若干読みやすくする
・リンクURLの記載


主にPDFになったこと、紙数制限がなくなったことによる修正で、本筋のところで大きな変更はありません。買われた方々が既にいるようで驚いておりますが、得るものがあれば幸いです。



形の上では電子書籍デビューということになりますが、あまり実感がないです。同人イベントでの頒布が長かったからでしょうか。



個人的にはまったく夢を見ていないのですが(サークルスペース前を人が通らない同人イベントに参加している気分)、これから思うことも出てくるはずなので、自分が落ち着くのを待ちます。


『英国メイドにまつわる7つの話の展望』の電子書籍版準備中

夏コミで頒布した『英国メイドにまつわる7つの話の展望』を、DLSiteにて頒布する準備をしています。といっても、単に既存の原稿をPDFにしただけのものですが、審査が通れば、再度告知します。



誤植の訂正を行いつつ、PDF版ということで、印刷時のページ数制限で割愛していた参考資料の詳細、出版情報の更新、PDFにするに際して行間を広げて若干読みやすくする、リンクURLの記載など、修正を行っています。主に紙数制限がなくなったことによる修正で、本筋のところで大きな変更はありません。



販売予定価格は同人版と同じく100円です。



果たしてニーズがどれだけあるのか分かりませんが、実験ということで。


2010年夏コミ新刊/『英国メイドにまつわる7つの話と展望』

夏の新刊は冬コミ準備号(白黒・オフセットの冊子)になります。


仕様

タイトル:英国メイドにまつわる7つの話と展望

値段  :100円

サイズ :A5判

ページ数:12ページ(注:白黒・オフセットの冊子)

頒布開始:2010/08/15(日) 西さ19a

     イベント:コミックマーケット78

     委託:なし


制作

筆者     :久我 真樹(サークルSPQR


内容

【1・英国メイドにまつわる7つの話】

○01・メイド服について
○02・「メイド」の種類について
○03・メイドは屋敷に勤めていたのですか?
○04・メイドになったのは若い子ばかり?
○05・メイドはどんな一日を過ごしましたか?
○06・メイドはなぜ雇われたのですか?
○07・メイドの最盛期にヴィクトリア朝が挙げられるのはどうして?

【2・メイド雇用という現象についての展望】

○1・産業社会への転換期の仕事
○2・経済発展と格差
○3・人件費と生活水準の向上
○4・国際化と新しい局面

【3・終わりに】
【4・お知らせ & 次回予告】



誤植について

P.4「上記資料を見ると、1891年には〜」のくだりは、1881年が正しいです。訂正いたします。読者の方よりご指摘いただきました。ありがとうございます。

内容の補足

この夏の新刊はコピー誌となりました。英国メイドに関する基礎的な部分や、『英国メイドの世界』で扱えなかった事項の補足、そして冬コミ刊行予定の「使用人の時代の終わり」に向けて、メイド雇用が生じる社会的背景と衰退の歴史的必然、という部分を考察したテキストを載せています。



これまでの「歴史の中の庶民・個人」「仕事」に特化した部分から、歴史的な全体像の話に踏み込んでいるのでトーンが違っており、好き嫌いが分かれそうですが、メイドに詳しくない方でも興味を持ってもらえるような角度で扱えたと思います。



今回の白黒・オフセットの冊子は、無料配布ではありません。電子書籍でも頒布してみようと思いますが、こちらも有償での配布の予定です。電子書籍版の配布時期は8月末以降ではないかと。



以前の予告では「階下で出会った人々」と題して、実在した使用人の手記に基づき、彼女たち/彼らがどのような家庭環境で育ち、職場を経験し、どの年代を生きたのか、どんな同僚と働いたのかを扱う予定でしたが、今回は十分な時間の確保ができなかったので、次回以降に回します。


これまでの同人誌との関係

単体で完結しています。資料性と歴史性が極めて強く、冬コミに向けた準備号的な位置づけです。『英国メイドの世界』同人版の補足的な内容を含んでいたり、商業版では本のバランスの問題で入りきらなかった「使用人のいた時代の終わり」の詳細部分のアウトライン的な内容を扱っています。





なお、次回の表紙はこんな感じです。夏に向けた新刊準備のうち、表紙だけは仕上げていただいていました。すみません……






表紙デザイン:U様([PICT]



本文イラスト :カズノリ様

新刊到着! 過去最少ページ数

無事、新刊が刷り上りました。



ここ数年、平均してページ数が増えていたので、今回の新刊(44ページ)を手にして、「あれ?」と思ってしまいました。



(既刊『英国執事の流儀』152ページ→『終わりの始まり』76ページ→『英国メイドの世界』572ページ→『MAID HACKS』100ページ→『ガイドブック』92ページ→『この倫敦の、空の下で』180ページ→『忠実な使用人』180ページ)



気づけば、今までで一番ページが少ない同人誌です。(コピー本やコミティアで無料配布した同人誌は除く:あれ持っている人、まだいるんでしょうか)



今回は正直なところ、いろいろと勝手が違っています。自分が作りたい同人誌は資料本やヴィクトリア朝使用人をテーマとしたものですが、今回の一冊に限り、自分の個人的なことである出版に向けて過ごした一年間や、来年以降への願望を書きました。これを書くことで来年以降の自分の足場を明確にしたいとの思いもありますし、イベントで出会った本がどのように育っていくのを見届けていただきたい気持ちもあります。



資料としての実用性は低く、本の性質も違います。これまで資料中心でやってきたことも考慮し、同人イベントで読んでからご判断いただきたいと考え、書店への委託はしていません。



お楽しみいただければ幸いです。



もう2週間後がコミケ初日なんですね。準備をしないと……


2009年冬コミ新刊/『英国メイドの世界』ができるまで


仕様

タイトル:『英国メイドの世界』ができるまで

値段  :300円

サイズ :A5判

ページ数:44ページ

頒布開始:2009/12/31(木) 東ミ14a

     イベント:コミックマーケット77

     委託:今のところ保留


制作

筆者     :久我 真樹(サークルSPQR

表紙イラスト :碧宇様

裏表紙イラスト:U様([PICT]


内容

Part.1:『英国メイドの世界』商業出版への歩み/7

 1・はじめに/9
 2・出版の経緯/9
 3・商業版と同人版の相違点/11
 4・出版作業/14
 5・出版途上での出来事/16
 6・終わりに/18

Part.2:『英国メイドの世界』ができるまで 19

 1・はじめに/21
 2・印刷への課題/21
 3・結果論で『英国メイドの世界』を振り返る 23
 4・同人活動で得た視点/考え方/24
 5・同人活動を続けるために大切にしたこと/27
 6・終わりに/31

Part.3:今後の活動/33

 1・はじめに/34
 2・同人活動/34
 3・同人以外の活動/35
 4・終わりに/37


内容の補足:2つの「英国メイドの世界」

冬コミは20世紀の使用人の歴史を予定していましたが、出版作業による原稿準備で資料本を作る時間がないことと、商業出版でどこまで20世紀を書くのかが決まっていないので、今つくれるものを作りました。



今回は商業出版に向けた正式なご報告と、もう2度と刷ることがない同人版『英国メイドの世界』、この2冊の制作プロセスを整理して書きました。



これまで同人イベントでお会いしてきた方々のおかげで、自分の活動は手ごたえを感じ、ここまで続けることができました。そのお礼をお伝えするため、そして参加していただいた結果として、どのような変化が起こり、そしてこれから起こっていくのかを、「同人イベント参加の当事者」の皆様に見ていただきたいとの気持ちで作りました。



なので、今回の新刊はしばらく同人イベントのみで頒布を行い、同人ショップへの委託は控えようと思います。来年は受かっていればコミティア(2月・5月)や、コミケットスペシャル5にも参加予定です。


これまでの同人誌との関係

単体で完結しています。資料性は極めて薄く(ほとんどない)、これまでの資料本サークルとしてのポジションも考慮し、今回は中身の確認をできない委託はしばらく取りやめようと思っています。



はてなブックマークで取り上げていただいたような、同人ノウハウを少し交えつつ、これまで大切にしてきたことや、受け取ってきたもの、考えてきたことなど、同人活動の総括のようなものとして記しています。



また、今後についてもやってみたいことを書きました。主にご報告と感謝をお伝えするという、今まで作ったことがない種類の本なのですが、読者の皆様にお楽しみいただければ幸いです。


冬コミ新刊「『英国メイドの世界』ができるまで」にて進行中

新刊タイトルは手前味噌に「『英国メイドの世界』ができるまで」です。現在、進行中です。同人版と商業版、という2つの『英国メイドの世界』が存在し、その2冊の本を作るプロセスをそれぞれ書いてます。



同人版は今までブログに書いたものを整理しつつ、同人系のノウハウというか大切にしてきたことを(来年で本の刊行を基準にすると同人10周年)書きます。あの同人版があって、その次がありました。



その同人版がどこへ続いていくかで、商業版の制作プロセスや同人版との相違、同人版以降となる2009年に体験したこと・出会ったことを、エピソードの形でお伝えします。



基本的には今までの同人誌をお読みくださっていた読者の方々への報告メインの私的な同人誌になります。読者ではない一見の方には分かりにくい内容かもしれませんが、ご容赦を。



本が生まれて、その後どうなったのかを、同人イベントで手にしていただいた方たちに知って欲しいと、「同人という場」でお会いし続けたことで、モチベーションを保って頑張ってこれたと思っていますので、その感謝を伝えたいと、そのための本のつもりです。同人イベントでお会いした「当事者」として、プロセスを見ていただければと思っています。



44〜52ページで収まりそうで、このページ数だと300円ぐらいです。


表紙・裏表紙はほぼ仕上がっていて、原稿がまだといういつものパターンですが、資料ではないので空いている時間に書き溜めています。商業版も並行して、というよりそちらがメインで時間を使っているので、今回はこのような内容にてよろしくお願いいたします。


使用人の歴史・佳境と、書籍として伝えることの再整理中

限られた時間で劇的にインプット&アウトプット中なので諸々、出力できていないものも多いのですが、今は歴史に集中しています。



最近、鬼のようにヴィクトリア朝書籍ばかり読んでいるので、心のスペースが埋まりかけています。自分の英国史理解レベルが上がってきたので、過去に読んで価値を分からなかった和書の意味が、だいぶ理解できるようになって来ました。



オックスフォード ブリテン諸島の歴史〈9〉19世紀―1815年‐1901年

オックスフォード ブリテン諸島の歴史〈9〉19世紀―1815年‐1901年



ヴィクトリア朝の人と思想

ヴィクトリア朝の人と思想





生活の世界歴史〈10〉産業革命と民衆 (河出文庫)

生活の世界歴史〈10〉産業革命と民衆 (河出文庫)





これらはその一部ですが、楽しいです。


現在の進捗

イギリス史として、使用人の歴史を真面目に勉強し続けている昨今、ようやく20世紀に辿り着きました。同人誌として目指していた『使用人の時代の終わり』はこれをベースにすれば、書きあげられるかもしれません。



冬コミに受かっていたら、刊行に向けて準備します。少なくとも、準備号ぐらいは用意できると思います。



書籍用の原稿としての使用人の歴史は、なかなか描き方が難しく、あまり長くすると読みにくくなってしまうという欠点があり、何を伝えるかを編集の方に相談しつつ、整理中です。知っていることを全部書くと、韓非子になってしまうんですね、というのは冗談としても、咀嚼できないと思うのです。



家を例にすると分かりやすいかもしれません。土台や骨組みや壁紙はこれだけすごいんですよ!というのは住む人にはあまり関係なく、その結果として住み心地や自分が生活するのに必要な環境が整っていれば良いわけです。



専門に向けた研究書ならばすべてを書いても良いのですが、今回は「一見」さん向けに作っています。まず、興味を持ってもらう。そして「使用人の仕事」を伝えることがメインで、歴史を細かすぎるぐらいに書く必要はありません。書いていると超楽しいのですが、この楽しさは世間的にはまだ少ない歴史マニア的なものなので……



むしろ歴史は『ヴィクトリアン・サーヴァント』に書いてあるじゃん、マニアはそっち読んでよ、もう読んでいるよね?ぐらいな話なのです。



ヴィクトリアン・サーヴァント―階下の世界

ヴィクトリアン・サーヴァント―階下の世界





冗談抜きで、『ヴィクトリアン・サーヴァント』はすごいです。今更かもしれませんが、イギリスの歴史を学び、関連書籍を読むと、本当にここにしかない情報と視点が、群を抜いています。他書籍でも「女性労働者の最大は女性使用人だった」と出てくるんですが、『ヴィクトリアン・サーヴァント』を読んでいると、比較になりません。



特に歴史関係では、貴重な情報が多すぎるんですね。類書を見つけるのは、なかなか困難です。これを読んでいて尚、使用人の歴史の資料本を書こうとするのですから、覚悟完了です。少なくとも、男性使用人・女性使用人は屋敷の資料の密度が薄く、自分でも描く余地が非常に大きいのですが、歴史は違います。かなり依拠しかねません。しかし、それでも自分が書くのは理由があります。どこを切り口とするのかの構築が重要で、その視点つくりに追われています。久しぶりに、手ごたえがあります。



今回の書籍については、密度と正確性にこだわりつつも、わかりやすさや、足場になることを意図しています。で、そのマニア向けは同人誌として、残そうと。



今、執筆にかこつけて研究していることは、自分の体力をつけるためです。英国史は正直なところ、断片的にしか詳しく無かったですし、ヴィクトリア朝に焦点を絞っていました。しかし、歴史は過去との連続の中で続くもので、使用人がいた職場の変化も、雇用主の境遇も、それを無視しては理解できません。



育てたお米や野菜や買ってきたお肉をテーブルの上に並べて「はい、食べて」というのではなく、きちんと読む人の味覚も楽しませ、栄養も考慮したバランスの良い献立を作り、じっくりことこと煮込んでいるところです。そこのフレームがしっかりできると、後は空白を埋めていくだけになるので、設計図をしっかりと組みなおそうと思います。



イギリス史、面白いです。



そんなところで、『英国メイドの世界』の「使用人の歴史」は200%?以上の書き直しになります。あの時の情報と自分のレベルではあれが限界でしたし、文中にも書きましたが『ヴィクトリアン・サーヴァント』『図解メイド』『エマ ヴィクトリアンガイド』が存在しており、自分であえて書く意味を感じず、長々と整理しきれなかった反省もあります。「全部読みきれない」と感想を下さった方に謝罪をするならば、冒頭にあれを持ってきてしまったことです。あそこで、詰まってしまったのではないかと。



商業版では、そこに素早く辿り着けるように、編集さんの力をお借りしながら、わかりやすさと腹持ちの良さを追求します。そして何よりも、自分が分かっていて書くので、読者の方が味わえるスープは、「どこかで買ってきたお湯で薄めたもの」ではなく、自信を持って「水、材料を煮込んで、精選されたもの」になるはずです、というか、そうします、目指します。厨房見られても大丈夫です。



進捗自体は若干遅れていますが、将来に繋がるところなので調整していただいています。校正原稿がかなりの修正入りで戻ってきてもいるので、そろそろ並行作業を始めますが、バラバラになっている情報を、一度自分の言葉としてつなげていく作業は、快感といえるものですね。大学受験の頃、日本史が大好きだったのでノートは気合を入れて作ってましたが(山川出版社の資料集や、外交文書?資料集とかを利用)、あの時代を思い出します。



だからきっと、今書いているものは、自分にとって財産になるでしょう。遅れないように頑張ります……