ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

アニメ『名探偵ポワロとミス・マープル』

NHKを見ていたら、『名探偵ポワロミス・マープル』の番組宣伝をしていました。原作ファン、そして英国のドラマ版のファンとして、「声優があっていない」(無駄に著名な非・声優を使いすぎ)「ポワロが似合っていない」(声が合っていない、卵形の頭ではない、おしゃれ・キザに見えない)、「ドラマのイメージを持ち込みすぎ」(主役級以外はドラマの俳優に似せている?)と、悲しいぐらいの出来栄えになりそうです。



とはいえ、イギリス版のドラマも原作にはない「テレビらしいアクション」シーンや、原作にはない描写・関係が多く入っていて、原作への忠実さを求める方には不評かもしれません。(『ゴルフ場殺人事件』『アクロイド殺人事件』は原作が好きだったので……『スタイルズ荘』『エンドハウス』はよかったです)し、ミス・レモンが「しゃれすぎて」います。



それはそれとして、ヘイスティングスが若くカッコよく、自分では「それほど悪くないじゃん?」「まだ僕は若いんだよ〜」と思っていそうな、あの人のよさそうなヘイスティングス像と違っていて……そんなに若さとヴィジュアルは大事ですか?



原作を大事にするならば、せめて当時の価値観・世界背景をきちんと作りこんで欲しいものです。今はまだ映像のみなので判断できませんが、「ドラマをただアニメ化した」という感じしかしません。



NHKならば「原作を読み込み、現地を歩いて」、作品を作れるのですし、「世界初のクリスティ作品のアニメ化」の名に恥じない作品を、今日の印象が裏切られることを期待しています。少なくとも、世界で受け入れられる「ジャパニメーション」「イギリス・逆輸入」できるクオリティには感じません。



ただ、メイドさんファンとしての好材料は、第1話が「盗まれた真珠の首飾りの話」らしく(例の『真面目が肝要』です)、メイドさんが2人(ひとりは容疑者、ひとりはホテルのメイド)出てきます。なんだかメイドさんが出てくる回を中心に構成される予感がします……これは願望でしょうか?



個人的に最も言いたいのは、ミステリとしての工夫を凝らした『オリエント急行』『アクロイド』などの名作は、小説を読んでいない人を考慮して、今回はアニメ化しないで欲しいということです。ミステリは「知らないからこそ楽しめる」ものであり、一度知ってしまえば、絶対に同じ面白さは味わえません。例として上げた作品は原作を読むべきであって、30分のアニメで表現されるべきものではありませんし、それこそ原作に対して礼を失することになります。



かつてクリスティのこの2作?の「トリック」を暴露したバラエティ番組を作ったNHK西田ひかるが司会をした番組初回で、もう10年ぐらい前の話です)ですが、原作やドラマを知らぬままにアニメを見ようとされる方は、せめて小説を読んでおくことをオススメします。人生の楽しみを、失いますから……



ここまで酷評しながら、ひとつだけ期待できる点があるとすれば、クリスティの原作には無いキャラクター、すなわち「主人公であるヒロイン」の存在です。原作には無い味付けで、どれぐらい物語を導いてくれるのか、楽しみにしています。



・同人誌進行状況

1:イギリスドラマのメイドさん

・コラム90%/イラスト0%

2:DVDや小説の1ページコラム×3

・1本のみ完成:33%

3:使用人の食事:翻訳

・100%(終了)

4:屋敷と使用人の職場

・0%(構想のみ)

5:MANOR HOUSE

・翻訳は帝國メイド倶楽部で発表のを再掲(100%)

+屋敷の地図や、もう少し詳しい解説文(0%)

6:短編集:3本

・リリィ(100%)

・彼女とそのメイド(80%)

・侯爵と共に(70%)



想定している68ページのうち、40ページは完了しています。