ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

英国カントリーハウスの建築様式

土曜日は友人と飲みに行き、ブリティッシュな雰囲気の店で、フィッシュ&チップスを食べました。映画『フロム・ヘル』やコミックス『アンダーザローズ』に出てきた、地酒アブサン+角砂糖がメニューに出ていましたので、びっくりでした。映画ではジョニー・デップが砂糖に火をつけ、阿片チンキをかけていたと記憶していますが、強そうなので飲みませんでした。



最近本を読んでいると森薫先生が行ったというカーライルの屋敷が、当時の絵画に出ていました。カーライルの屋敷には当初、使用人用の部屋がなく、地下のキッチンで眠らされており、数年後に、彼ら(彼女ら)の寝室が最上階に設けられたとか。



同人作業はそれなりに進んでいます。今日はイギリスの建築様式の流れを追いかける箇所の整理をしました。実際のところ、1巻を書いた時点で持っていた資料(和書)で足りていたのですが、当時はその辺りの重要性に気づいていませんでした。建築様式、建築家、その代表作を整理することで、自分自身が具体的に当時を理解したいと思っています。



 「パラディオ様式(イニゴー・ジョーンズ)」

→「バロック様式(レン、ヴァンブラ)」

→「英国パラディオ様式(ふたりの伯爵)」

→「新古典様式(ロバート・アダム)」

→「復興ゴシック様式」(バーリー、ピュージン)



他に細かいものもありますが、この辺りを整理して、それぞれの屋敷の特徴や使用人領域の流れを把握しようと思います。



バロック様式に名前の出ている「ジョン・ヴァンブラ」は『Brideshead Revisited』のドラマ版の舞台で使われた「カースル・ハワード」の設計者です。さらに彼は、ウィンストン・チャーチルの先祖である初代モールバラ公爵の為に国費を投じて作られた「ブレナム・パレス」も設計しています。



『週刊世界遺産』は創刊当初、ウェストミンスターが出ていたので買いましたが、しばらくその存在を忘れていました。しかし昨日、この「ブレナム・パレス」も世界遺産に登録されているのを知り、雑誌を早速買いました。表紙はストーンヘンジで、他にバースの市街地も世界遺産登録されているとか。バースも掘り下げると面白いですし、和書では確か小林章夫氏が何作か書いているので、いつか読もうと思っています。



こんなふうに、なるべく「実際の屋敷名」「建築家」「建築様式」を整理していくつもりです。そうしないと本当に覚えきれないんです……映画『日の名残』の舞台になったお屋敷の名前と、建築様式は? という質問に対して、今はようやく「ディラム・パーク」「ウィリアム・トールマン」「バロック様式」と答えられます(『英国貴族の邸宅』による知識)



それに、「ヴィクトリア女王」よりも金持ちだった貴族が英書『THE VICTORIAN COUNTRY HOUSE』冒頭に紹介されていたので、「初めて知った」と感動したのですが、実は和書『英国カントリーハウス物語』に、その人の履歴がほとんど書いてありました。「未知の知識を求めて英書を読むか」「見落としていた知識を求めて和書を読み直すか」、そのどちらも必要だと、痛感しています。