ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

素晴らしい本

この前、少し触れた『名探偵ポワロの華麗なる生涯』を読んで、クリスティ作品と屋敷・使用人・料理の研究をしたいなぁと思っていました。過去に読んだ時とは読む自分が変わっているからです。高校時代は「屋敷きれいだなぁ、料理いいなぁ」と思っても、「メイドさんいいなぁ」「カントリーハウス最高!」なんて、思ってもいませんでした。



その視点で書いた本が無いか、最初に英書で探しましたが、検索ワードが適当ではないせいか見つかりませんでしたが、和書ではありました。



アガサ・クリスティーの食卓』という本で、作品内に登場する料理のレシピも網羅しています。『シャーロック・ホームズの料理読本』と違うのは、「日本人が書いている」ことです。同人誌でこれから扱おうとするイギリス料理についての考察を深められればいいなぁと思います。



そして本同人誌の活動が一段落したら、「クリスティ作品と屋敷・使用人」について、新しい同人誌かを作るか、ネットでの活動をしようと思います。イギリスを探せば市販の本でありそうなので、それを探し当てられないという条件が満たされれば、ですが。



今回買った本の参考文献に、似た系統の英書があるかどうかを期待したのですが、残念ながら、ありませんでした。



それとは別に英書の補充を行いましたが、今回は使用人関係資料が2冊、カントリーハウスが8冊といった分量です。カントリーハウスの資料も、今までのような分厚く難しく読みにくいもの(そして実際にほとんど読んでいない)ではなく、「薄く」「図面中心」「写真中心」「安い(重要)」ものを中心に、セレクトしました。



ずっと欲しかったマーク・ジルアードの『The Victorian Country House』は以前日本のamazonで頼んだときは結局品切れ、今回も3〜5週間を信じていましたが届く気配が無いので、アメリカの通販で買うことにしました。



送料が非常に高い(本代75%:送料25%)ですが、同じ本でも日本では15%の割引率が、アメリカでは割引率30%になっていたり、古本市場がすさまじいので安い本を入手しやすくなっています。また日本のamazonには存在しない絶版本も、comやukには存在していることもあるので、年に1〜2度ぐらい、まとめて買っています。



ところで、日本のamazonでも、聖典『THE RISE AND FALL OF THE VICTORIAN SERVANT』が1500円ぐらいで買えるようになります。比較的Pamela Hornさんの英語は単語のセレクトがわかりやすいので、失敗を覚悟で、買ってみてはいかがでしょうか?(最近読んでいる『Country House Life』筆者の単語の言い回しや選び方には、殺意さえ芽生えます。簡単に言えるのにわざと難しい言葉を選ぶという、伝えることの大切さを置き去りにした、いわゆる衒学的な言い回しを好む日本の岩波文庫のようです)



この一冊が日本におけるイギリス・メイド学の基礎知識(『路地裏の大英帝国』の使用人箇所の原典、『エマ ヴィクトリアンガイド』でも多数使われている)を成しています。これが一冊、和書で出ていたならば、自分は同人誌をそんなに入れ込んで作っていなかったと思えるほど、総合的で幅広い内容です。数少ない、★★★★★文献です。