ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

『MANOR HOUSE』映像公開第2弾

DVD『MANOR HOUSE』公式サイトにて、2本目の予告編が公開されています。



『MANOR HOUSE』予告編



建物、いいなぁ……掃除大変ですが。



尚、ブログの内容が薄いのは、5巻の再版用の入稿データを作っていたからです。働きながら同人誌の再編集はシビアなのだなぁといまさらながら痛感しました。ちょうど5巻までが「印刷→台紙に貼る→入稿」と言う流れで、データ化していなかったので、すべきことが多すぎました。



次回以降楽できるといいなぁ……

『MANOR HOUSE』予約開始と映像公開

DVD『MANOR HOUSE』公式サイトにて、DVDの予約受付が始まりました。公式サイトでしか購入できないとのことで、欲しい方はお早めにチェックを。久我も早速予約してきました。



久々に午前様(書いているのは00:45)、ということで、今日はこれぐらいで……と思ったら、予告編まで更新されているではありませんか!



『MANOR HOUSE』予告編



特典映像として紹介されている『マナーハウス・ガイド』は、144分。そもそも、『MANOR HOUSE』とは別で販売されているDVDです。正直なところ、これを単体で買う機会そのものが無いと思いますので、字幕付・『MANOR HOUSE』のレシピを実践する、という番組構成は、イギリスの暮らしが好きな人にとってはたまらない映像です。



原題『Treats From The Edwardian Country House』の感想



『THE 1900 HOUSE』に出てきた、珍レシピのヴィクトリア朝研究家が友情出演しているっぽいのは、内緒です。



コラム的コーナーも増えていますので、興味ある方は是非。



久我もそろそろ始動します。


『MANOR HOUSE』と『エマ』8巻


この作品と「ヴィクトリアン・サーヴァント(英宝社刊)」
があれば、メイド漫画が描けると思います。

みなさん是非描いてください!

(森 薫/漫画家)

MANOR HOUSE』のチラシより。


『エマ』8巻には、『MANOR HOUSE』のチラシが入っています。寄せられた文章も十分熱いですが、あとがきの中でも森薫先生が絶賛しています。他に日本語化して欲しい映像って何だろう、と思いつつ、メイドを真剣に研究していれば、行き着く先は同じなのだと感じました。



どちらの資料も、森薫先生同様、久我にとっては数年前に到達した地点です。



ちょうど2004年ぐらい、森薫先生が当時の4巻あとがきで唐突に「脳内うちわけ」という円グラフを描きました。1位は当然「ヴィクトリア朝メイド」ですが、2位は、「エドワード朝メイド」。



「きっと『MANOR HOUSE』だろうな」とも思えました。なぜならば、その当時、わざわざエドワード朝のメイドに触れるだけのインパクトある作品は、『MANOR HOUSE』以外に存在しなかったからです。



同時期に似たような資料を発掘して、読んで、吸収して、表現の幅を増していく。巻を進めるにつれて段々と森薫先生の速度や幅広さに追いつけなくなりましたが、筆者の方とそうした感覚を持てた作品は、自分にとって『エマ』が最初で最後だと思います。



そういう意味で、自分にとって『エマ』は特別なんですね。



この後、日本でどれだけ資料本が作られようとも、映像が出ようとも、『ヴィクトリアン・サーヴァント』と、『MANOR HOUSE』を超えられるだけのものは、ほとんど存在しないでしょう。



だから、この機会に、是非、本物に触れて欲しいと思うのです。



『MANOR HOUSE(マナーハウス)』公式



→パンフレット情報あり。



予約受付開始は2007/03/31からで、公式サイト以外では販売が無いようなので、欲しい方はくれぐれもご注意下さい。



Manor House: Life in an Edwardian Country House

Manor House: Life in an Edwardian Country House





あとがきで言及されていた『MANOR HOUSE』の副読本です。番組内では扱いきれなかった情報や、登場人物のコメントなどの裏話も出ています。


公式サイト更新&メルマガ発行

送信主が「"ManorHouse Steward"」と、しゃれていますね。



メルマガの内容はかなり濃く、どのようにして出演するメンバーを選んだか、そして『MANOR HOUSE』に登場する「バスソーク」(入浴剤:バスソルトだと思ってました……)の作り方&実践のレポートが載っています。



定期配信されるとのことです。



で、メルマガにでていた「選考基準」での雑談です。



MANOR HOUSE』である姉妹番組『THE 1900 HOUSE』では、選考基準に「家族同士でコミュニケーションが取れている」「テレビカメラがあっても気にしない」「ストレスに耐性がある」などをあげています。三ヶ月もの間、現代から隔離されて、不自由な生活を過ごすのは相当、ストレスになるからです。



MANOR HOUSE』の場合、それがエスカレートします。屋敷と衣装、そして豪華な生活、それを維持する使用人たち。全員が一般応募のメンバーです。「使用人」の立場になった人には、心理的な圧迫感も高くなります。(実際には使用人だけではなく、「階段の上」の人たちにも、すさまじいプレッシャーがかかりました)



さらに専門職(シェフやレディーズメイド)については実際にスキルのあるメンバーを選んだとの事。確かにこうした技能職は付け焼刃では無理です。ただ、逆にプロフェッショナルな人がプロフェッショナルで無い部下を持つと不幸にもなります。



部下の成長までの時間を許容できないと、崩壊する、という事例が『MANOR HOUSE』では起こりました。シェフは、「部下は絶対服従・彼を支えるスペシャリスト」であることを望み(当時のスタンスとしては正しい)、周囲との軋轢を生みましたから。



こういうところでも、「百年前の使用人」の生活を再現、と言いながらも、現代的な「上司」「部下」というマネジメントの問題が生じるのです。昔は他に仕事が無かったり、選択肢が無かったりと逃げ道は少なかったですが、人が人と働くときに生じる問題に現代も過去も、関係ないようです。



『MANOR HOUSE(マナーハウス)』公式



もとなおこ先生もブログで『MANOR HOUSE』とメルマガに言及/motonaokoblog


DVD『MANOR HOUSE』日本語字幕版・久我も普及に協力します

本日、DVD発売元の制作の方に無事にお会いすることができ、普及に関して協力することと相成りました。前回の日記「本物のメイドさんと執事と屋敷を見るべし!」にて、「年末に連絡があって、年明けにメールをしたが、音沙汰が無かった」のですが、そのことを日記に書いたあと、先方より、連絡がありました。



久我はYAHOOのメールを使っていましたが、年明けぐらいに先方のメールの設定が厳しくなり、除外されていたとのことでした。この前の日記を見て、それに気づかれたとのこと。お互いに「連絡が無い」と思い込んでいたのは、今となっては笑い話ですが、ネットで一喜一憂(そして一喜)ですね。



気づいていただけて、ありがとうございます。



より多くの方に『MANOR HOUSE』を見て欲しいと、三年間魅力を伝えてきましたが、如何せん、DVDはRegion1・日本語字幕が無いと言う厳しい状況にありました。同人イベントで、「サイトを見て、買いました」と教えて下さる方に何名かお会いできたのは個人的に大きな体験でしたが、映像の素晴らしさをもっと広く伝えきれないことが、もどかしかったのも事実です。



『日本語版があったらなぁ』



それが、叶いました。



制作の方が番組に惚れ、企画を通されました。そして、ネットで久我の『MANOR HOUSE』紹介記事をたまたま読んで、連絡をして下さいました。『MANOR HOUSE』を市販するのみならず、森薫先生やもとなおこ先生、村上リコさんたちが登場するその場を作られたことは、非常に大きな仕事です。



MANOR HOUSE』ファンとしては感謝してもし足りず、想いは同じなので、全面的に協力させて欲しいとこちらからお願いしました。



どのように関与するかはまだ完全に形になってはいませんが、これから幾つか企画を提示したり、普及に関してご協力していきます。また、ファンとして純粋に活動したいこともありますので、今回の件に関しては、自主的にやることとなっています。



どうにか、「森薫先生の仕事される場所に近づき」(同じ舞台ではなく、同じ劇場にいる感覚?)、夢のひとつが叶いそうです。同人活動を始めた頃は思い描かなかったですが、こういうこともあるのだなぁと、つくづく、ネットの不思議を感得する次第です。



『マナーハウス』公式



また何か決まりましたら、ご報告します。

DVD『Treats From The Edwardian Country House』

この時間に帰ってくると、日記に書くような素材もないのですが、ひとつ思い出したネタを書こうかと。



使用人映画として近年、大きな影響を与えた『Gosford Park』の映画パンフレットを読み直していると、コックを演じた女性は『Upstairs Downstairs』の脚本だかディレクションに関わっていた方でした。世界が狭いというか、配役の妙というのか、さすが心得ているなと今更のように感嘆しました。



この映画も、久々に見たいですね……



とかなんとか言っているうちに、『Treats〜』を1話分、見終わりました。今回、Hugh氏はNATIONAL TRUSTの管理するエドワード朝の菜園を訪れて、当時の野菜を食べたり、エドワード朝のカクテルや料理の味付け・色付けに使われた、rhubarb(ダイオウ)の農場も訪れます。化学的に見えるほど、これを使ったカクテルはピンク色で、びっくりしました。



最後に、Hugh氏はエステティシャン?を招いて、自宅で顔に塗るパックを作ります。苺をすりつぶし(贅沢)、なにやらいろいろと混ぜ、最後には卵の白身も加え、作り上げたクリームを顔に……目にはもちろん、キュウリです。



この辺のレシピは実際に真似するかどうかは別として、見ていて面白いですね。『MANOR HOUSE』では登場したメイドさんも、これと同じかはわかりませんが、似たような素材で顔にパックをしていた、という映像もありました。

DVD『Treats From The Edwardian Country House』

早いもので『MANOR HOUSE』を書いてから、一ヶ月が経ったんですね。



片手間に見ていたDVD『Treats From The Edwardian Country House』ですが、腰をすえて見るとものすごく面白いです。謎のイギリス人Hugh氏はその筋では有名なようで、現代を生きるひとり版『MANAR HOUSE』といった感じです。



1部では「花」を扱います。最初に花市場に行き、花を買います。そこで顎鬚を生やした金髪の青年からエドワード朝に関わる膨大な花を渡され、当時の人たちが「花言葉」で気持ちを伝えていたというエピソードを教わります。



そして次に、香水師に会い、エドワード朝の花から作られた香水を楽しみます。当時の香水は花を原料としていて、その辺りはカントリーハウスのStillRoom(蒸留室)とも関わりを持ちます。



元々のStillRoomは薬品を蒸留する為でしたが、その原料には薔薇の花やハーブなど、様々な植物が使われ、そうした植物の蒸留水はそのまま香水になりました。当時の薬のレシピなどでは、よく「薔薇の水」が出てきますが、家庭内で作れる屋敷もあったのです。



次に彼は蘭の職人の元を尋ねます。そこで蘭は、当時「マニア」が生まれたという話を教わります。最後に前に日記に書いた、「バスソルト」を作りに、アロマ?香水?のお店を訪ねます。そこで乾燥させたラベンダーと、そのオイル、そして塩をモスリンの布で包んでバスソルトを作ります。(店員のおばさんのエプロンはメイドさんエプロンでした)



『エマ』3巻のあとがきで森薫先生が書いていたり、『イギリス手作りの生活誌』、或いは『THE COUNTRY HOUSE SERVANT』に出ていますが、ラベンダーは香りがよく、その上で虫除け(Moss:蛾)の効果がありましたので、衣料品との相性は抜群でした。



MANOR HOUSE』のDVDでは出ていませんでしたが、今見ているHugh氏のDVDでは、『MANOR HOUSE』で撮影された、関連する映像を織り込んでいます。その中のひとつに、レディーズメイドが主人の髪の手入れにラベンダー水を使ったり、リネン室でメイドたちがラベンダーの包みを引き出しに入れているというシーンもありました。



最後かどうか忘れましたが、エドワード朝のディナーを飾った「ゼリー作り」にHugh氏は挑みます。オレンジやレモンの皮やハーブ、そこにゼラチン(ゼラチンは市販のもののようです。『英国ヴィクトリア朝のキッチン』には、当時と今のゼラチンの強度が違うのか?をゼリー協会に問い合わせたなんていう記述がありましたね)を加えて、煮立てます。



面白かったのは、その後、卵の殻を砕いて、白身と一緒に入れたことです。これによってゼリーの透明度が増すそうです。その後、ゼリー袋で漉し、それを型に入れて冷やします。作る際、彼はPrimRoseの花を型の最下部に入れてゼリーを少しかけ、固まったらさらのそれを囲むように花を幾つも置いて、固めていくという方法で、内部に花を飾る仕掛けを見せてくれます。



これだけで、だいたい25分ぐらい、高密度の番組です。第二部、第三部はまた書きますが、第二部では朝食やお菓子、蜂蜜、第三部ではディナーとデザートでアイスを作ります。『英国ヴィクトリア朝のキッチン』でボム(砲弾)と呼ばれるアイスの型が紹介されていますが、まさにそれが出てきます。



DVDにはレシピもついていて、すぐにも挑戦できそうです。Hugh氏のホームページはhttp://www.rivercottage.net/index.jspです。このDVD以外の、『Rivercottage』という方で有名みたいです。