ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

ヴィクトリア朝

『Under The Greenwood Tree』

別に暇になったわけではないですが、英語の勉強を兼ねて(という言い訳)、イギリスドラマを堪能しております。本腰を入れて探し始めると、これが奥深いです。英文学の作家・作品の数だけ、それこそ映像化されていますから…… ほとんどがAMAZONのレコメンド、…

サイト内のサラ・ウォーターズ特集

1作目:DVD『Tipping The Velvet』 2作目:小説『半身』 3作目:DVD『荊の城』 ついでといってはなんですが、かなり押さえていました。

『F-Files 図解 メイド』

図解 メイド (F-Files)作者: 池上良太出版社/メーカー: 新紀元社発売日: 2006/04/25メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 55回この商品を含むブログ (51件) を見る アキバblogさんの関連リンクで、過去に書いた「図解メイド」を考える、をご紹介いただきまし…

『The Scarlet Tunic』

『The Scarlet Tunic』 トマス・ハーディの小説は偶然・運命に翻弄される人々が階級に関係なく、描かれています。そこを悲劇に見るのか、ユーモアに見るのか、見方は分かれますが、少なくとも、そこに翻弄される小説の当事者にとっては、残酷なまでの悲劇、…

トマス・ハーディ原作の映画

手元にあるものを中心にした、トマス・ハーディのDVD紹介です。意外と映像化しているんですね。 Far From the Madding Croud(『狂乱の群れを離れて』) 最高の使用人映画『ゴスフォード・パーク』で執事を演じたアラン・ベイツが主役でした。ハーディの作品…

NHK『コナン・ドイルの事件簿』

村上リコさんのサイトで、過去に紹介されていたドラマです。既に3回が放送され、残すところ、あと2回となりました。

「F-Files 図解 メイド」を考える

図解の精度は未知数 きっしーさんよりトラックバックをいただきました。それがきっかけで、考えてみました。 きっしーさんが言及されるように、今までのメイド資料本で「図解」にこだわったものはほとんど皆無です。メイドの描き方的な本は、ヴィクトリア朝…

DVD『BLEAK HOUSE』(邦題:『荒涼館』)

あらすじ ディケンズの著作の中で、ミステリ色の強い小説が『荒涼館』です。主人公は「美少女」エスタ。伯母の下で育てられた彼女は、その伯母から疎まれ、愛されずに育ちました。出生に秘密を抱える彼女は、保護者の死によって、新しい保護者ジョン・ジャー…

「F-Files 図解 メイド」

電脳メイドしづ子さん経由ですが、メイドさん関連の資料本が出るそうです。出版社はTRPGをやっている人ならばおなじみの新紀元社です。 『エマ ヴィクトリアンガイド』に始まり、ここでひとまず、「メイド萌えを意識して編集された資料本」は、終わりそうな…

映画『テス』

以下、若干のネタばれがありますので、未視聴・原作を知らない方は読まないように、ご注意ください。 まえおき トマス・ハーディの作品の中で最も有名な『テス』。1970年代にこの作品は、『戦場のピアニスト』などで知られるロマン・ポランスキー監督の手に…

DVD『Fingersmith』(『荊の城』)

物語の特徴 最近、ドラマづいています。ようやく、サラ・ウォーターズの傑作『荊の城』をBBCがドラマ化した映像『Fingersmith』を視聴しました。ミステリ小説という性質上、明確にあらすじを書くのは適当ではないので、断片的に。小説の感想はもう過去に書い…

DVD『THE IMPORTANCE OF BEING ERNEST』

最初は小説から ずっと昔、『名探偵ポワロ』のドラマの中で出てきたオスカー・ワイルドの『真面目が肝要』。そこで原作に興味を持ち、1〜2年前に小説を読んだところ、電車の中にもかかわらず、ユーモアに思わず笑ってしまうほど面白い本でした。テレビの中…

『クィーン・ヴィクトリア』

以下、映画のネタばれとディケンズ『オリバー・ツイスト』のネタばれが含まれます。ご注意ください。真面目に書くと長い……反省です。 年末のコミケで悠々アソブさんよりいただいた『クィーン・ヴィクトリア』を週末に見ました。 夫のアルバート公を亡くした…

小説『日蔭者ヂュード』(ASIN:4003224035)

トマス・ハーディが、この本の反響で絶筆した、というような話があったかと思います。絶版になった後、長らく捜し求めていましたが、御茶ノ水で見つけてから、上中下巻のうち、上巻の冒頭のみを読んで、頓挫していました。理由は、あまりにも物悲しい、切な…

DVD『Fingersmith』(『荊の城』)

日本の「このミステリーがすごい!大賞」海外版で、『半身』『荊の城』の小説で2年連続1位を受賞したサラ・ウォーターズ。その彼女の作品が、処女作『Tipping The Velvet』に続いて、映像化されました。映像化したのはBBC。話には聞いていましたが、既にDV…

『Under the Rose (3) 春の賛歌』

だいたい年に一冊のペースでしょうか、去年も旅行から帰ってきた後に購入した記憶があります。 この本は、伯爵家を舞台にした物語で、様々に人間の激しい感情が入り混じる「人間劇」です。登場人物は『階段の上』である伯爵の子供たちと、彼らの屋敷にいる『…

『Love & Dirt: The Marriage of Arthur Munby and Hannah Cullwick』

読み終わりました。出会いから、ふたりの死まで、非常に長い時間を扱った本でした。ハナ・カルウィックとアーサー・マンビーの間で交わされた手紙や、彼らが残した日記を随所に織り交ぜながら、時間を丁寧に追いかける構成でした。ただ、当時の生の感情がそ…

『日陰者ジュード』(Jude the Obscure)

ずーっと、ここ数年読みたくて探していた本です。原作はトマス・ハーディ。その筋では有名、というか久我が勝手に盛り上がっているだけですが、19世紀のメイドさんを丁寧に描いている、英国ヴィクトリア朝の大文豪です。 この、『19世紀のロンドンはどんな匂…

『ヴィクトリアン・サーヴァント―階下の世界』発売

本サイトで何度も取り上げていた、使用人研究の最高の文献の一冊であり、『エマ ヴィクトリアンガイド』の主要参考文献でもある本『THE RISE AND FALL OF THE VICTORIAN SERVANT』(ASIN:0750937173)が、和書で発売されました。ニュースソースは『電脳メイド…

『Avoid Being a Victorian Servant! 』

キワモノっぽい絵ですが、最近発売されたばかりのヴィクトリア朝使用人に関する資料本です。予約段階で購入しましたが、届いた本は…… 主人公は『シャーリー』よりも年下の12歳の少女、イギリスの労働者の娘です。その娘である「あなた」が、使用人として働く…

『THE 1900 HOUSE』

久しぶりの更新です。 メイドを雇い、自分自身の時間を持つようになった中流階級役を演じた女性ジョイスが、結局、メイドを解雇するようになるという、その経緯が興味深いです。 関係ないですが、ジョイスはきっと、優秀なTRPGプレイヤーになるでしょう。そ…

『THE 1900 HOUSE』

昨日更新予定でしたが、仕事が忙しく、今日になりました。原稿は書き溜めていたので、8回目と9回目の更新です。番組を紹介しつつ、興味のある部分を取り上げているだけなので、番組そのものはもっと幅広い題材を扱っています。 今回は大イベント「髪を洗う…

『THE 1900 HOUSE』

7回目の更新です。 メイドさんを雇う箇所に、ようやく到達しました。雇わなければやってられない、雇わなければ自らがメイドになる(掃除・洗濯・料理を担当する)しかない、というのが、テレビを見て感じたことです。 『THE 1900 HOUSE』の続きはこちら

『THE 1900 HOUSE』

6回目の更新です。メイドさんを雇う箇所を書こうと思いましたが、なぜそれだけ家事が大変だったかの説明が不足していたので、付け足しました。こうした要素は書物の上では絶対にわからないことで、映像を通じて、当時の生活を再現して初めて伝わるものだと…

『THE 1900 HOUSE』

4回目の更新終了です。今回は「食」「買い物」をメインにしました。全4回の番組ですが、1話あたりで2回書いているので、長いです。とはいえ、もう少しでだいたい紹介したいところが終わるので、新しい資料に移ろうと思います。 『THE 1900 HOUSE』の続き…

『THE 1900 HOUSE』

3回目の更新をしました。このドキュメンタリーで出てきている家は二階建てで地下も使っておらず、『エマ』が最初に働いていたケリーさんの家にイメージとして近い感じがします。 老婦人がひとりで暮らすのだからメイドなんていらないだろうと思われるかもし…

『THE 1900 HOUSE』

2回目の更新をしました。こちらも1日目の内容ですが、実際に屋敷を再現するスタッフの動きを追いかけたものです。家の内装を壊し、キッチン器具を剥ぎ取り、20世紀の家具を追い出していく光景は驚きです。 古くから残る町並みの多くはヴィクトリア朝以降に…

『THE 1900 HOUSE』

かつてNHK教育で3回に渡って放送された、その筋では伝説的な番組です。古くからメイドさんやヴィクトリア朝の暮らしに関心を持つ方にとって、再放送が望まれる番組のひとつです。 現代人が、1900年の家に住み、当時の服を着て当時の道具で現代と接触を断っ…

DVD『Far From The Madding Croud』(AMAZON.CO.UK)

1960年代の作品で、19世紀イギリスの文豪トマス・ハーディ原作『狂乱の群れを離れて』(ASIN:1853260673)を映画化したものです。AMAZON.CO.UKで面白そうなDVDを捜していた折に見つけ、数ポンドの値段だったので、買ってみました。 この話は、ヴィクトリア朝関…

『Of Carriages and Kings』

読み終わりました。主人になったポートランド公爵が『主馬頭』(Master of the Horse:『19世紀のロンドンはどんな匂いがしたのだろうか』の資料では、上から22番目の地位。しかし公爵が7番目なので、そちらの方が優先?)になり、その彼の供回りとしてFoot…