ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

コラム

ヴィクトリア朝メイド資料を作りつつも創作をしていることを考える

『帝國メイド倶楽部』に参加できなかったから、というわけでもないですが、久々に時間が出来たのでネットを巡回していました。 同じく参加できなかった墨東公安委員会様のブログにて、このところ興味深いエントリが続いていたので、参加することにしました。…

イラスト・同人界でも「高速道路論」

森薫先生が「『MANOR HOUSE』と『ヴィクトリアン・サーヴァント』があればメイド漫画作れる」と言ったことで、久我はメイド創作における「高速道路論」が始まると以前書きました。 『MANOR HOUSE』は、ヴィクトリア朝/クラシカルメイドの「高速道路」 金曜日…

『MANOR HOUSE』は、ヴィクトリア朝/クラシカルメイドの「高速道路」

タイトル長いですね。 永らくヴィクトリア朝メイドの資料を勉強している者の感想として、資料的価値が非常に高いものが一般化していくことは、伝え切れなかった価値が広く伝わって嬉しくもあり、また自分自身の存在意義や意欲を弱まらせるものでもあるので、…

『コードギアス 反逆のルルーシュ』を見る

機会があって、『コードギアス 反逆のルルーシュ』を見ました。久しぶりに「来週」が楽しみな感じの話です。 このアニメ、超大国ブリタニア帝国に日本が占領されている状態です。で、その帝国の人々の呼びかけが、僕が今までに見たアニメ・日本の作品の中で…

資料整理作業はGoogleに似ている

ウェブ進化論的な話? 再び同人誌制作に向け、ヴィクトリア朝メイド、使用人の資料整理に着手しましたが、ふと自分の同人誌制作プロセス、参考文献の整理の仕方がGoogle的であると気づきました。 Googleは無数のウェブサイトからのリンク数で、サイトの評価…

2005年を振り返る

2006年、あけましておめでとうございます。ということで今年が始まりましたが、では去年がどうだったかを少し振り返ってみようかと思います。

2005年を振り返る

年末なので、今年のニュースを書こうかと思いましたが、まず今年出会った参考資料の順位付けでもしてみます。系統として「資料編」「映像編」「コミックス編」の3カテゴライズで記し、コミケ明けの12/31に今年の十大ニュースを書きます。 こうして振り返っ…

ヴィクトリア朝メイドを語ること・『エマ』に思うこと

はじめに(2008/02/13補足)ニュースサイト経由でこられた方向けに、このテキストの補足です。 以下は、同人活動として「ヴィクトリア朝メイドの資料本」を制作する立場から、なぜ資料本を作り、メイドを主人公とする『エマ』のどこに魅力を感じるのか、を書…

資料は何の為に集めるのか?

無から有は生み出せない、何かしら風景や知識の中から生み出される想像が、創作をしやすくします。「知らないものは書けない」、というのが久我のスタンスであり、だからこそ資料を追求しているわけですが、必ずしもそれが創作に直結しているわけではない、…

同人から生まれたメイド資料本というジャンル

WEB拍手にコメントをいただき、ありがとうございます。 これは制作している同人誌のキャッチコピーで、『エマ ヴィクトリアンガイド』に負けない資料同人誌を作っています、という気持ちの現れになります。 元々、ヴィクトリア朝メイドの資料という特殊な分…

メイドのヘッドドレスはいつ登場したか?

きっしーさんのコラムで思い出したのですが、コミケットスペシャル4で、話をした方から「メイドの頭にある装飾的なヘッドドレスはイギリスではいつぐらいに広まったのですか?」「あれは日本的なアレンジですか?」と質問され、明確な回答が出来ませんでし…

使用人の世界

ヴィクトリア朝や文学について自分より詳しい人は大勢いるかと思いますが、メイドや使用人というジャンルは、日本の学者か研究者にとってほとんど未踏の領域です。和書の少なさがそれを物語っています。 日本においてこうした研究のほとんどは文学や女性史、…

メイドさんはサラリーマン

『M.O.E』に寄稿したコラムの補筆のようなものです。 メイドさんはよく「神に仕える巫女」的な「奉仕・献身」のニュアンスで強く語られますが、それだけではない、というのが自分のメイド観にありますし、同人誌制作にもそれが反映されています。 責任感を持…

英国メイドさんガイドブック・ガイド(『エマ』アニメ化記念)

『エマ』アニメ化を記念して、イギリスに実在したメイドさんや、彼女たちのいた生活を愉しみたい方に向けて、簡単なガイドブックのガイドを作りました。 メイドさんを通じてその向こう側にある、ひとつの生活風景を愉しんでいただけたら、と思います。 コミ…

2004年の重大ニュース

2004年の資料・本05位:『名探偵ポワロとマープル』の失敗期待していたものの、「クリスティー作品の世界を伝える」作品ではなく、プロデューサーが「俳優を声優に起用する」番組になってしまったため、世界初のアニメ化が泣いています。 今日、12/31に例の…

イギリス紅茶

イギリスの高級食品を扱う【ハロッズ】。それと同じく有名な【フォートナム&メイソン】が日本橋三越・新館に出店していたようです。本場の「三段重ね」(サンドイッチ/スコーンwithクロテッドクリーム?/ケーキ)のアフタヌーン・ティーも楽しめるようで…

『エマ』メルダース家のある地方は名作の舞台

同人誌用にメイドさんの私室を調べている途上、資料のひとつとして『エマ』を読んでいました。『エマ』3巻からエマはメルダース家に勤めています。「あのカントリーハウスはどこをモデルにしたのかな?」と、ふと考えました。 「そういえばエマの屋敷ってイ…

階段の下(コラム)

この写真を撮る為に行ったといっても過言ではありません。 いずれもロンドンの住宅の写真ですが、建物に通じる階段の脇には「堀」のようなものがあり、そこから地下が見えます。こここそが使用人たちの働く地下、『Downstairs』です。使用人たちは正面玄関の…

「メイドさん」の原作・源流は?

自分の同人誌は歴史系・生活系といった、実在のメイドさんの知識に絞っています。本場のイギリスでは実際の祖父や祖母が働いていた人も多く、詳しい経緯は知りませんが、1970年代には様々な研究が行われたようで、英書の参考文献・良書はその時期に集中して…

最初に英国メイドを教えてくれたのは永野護さん?

元々、『FSS』(永野護先生)目当てでずっと『NEWTYPE』を買っていたものの、段々と連載を読み続ける気力が無くなり、何年も買っていませんでした。つい先日、一緒に買い物をしていた友人が『アニメージュ』を買ったのに触発され、また、「久々に何か見たい…

18世紀初頭のメイドさんコスプレ

『地上楽園バース』P51をご参照下さい。 社交都市としてのバースに君臨したジョン・ナッシュが、正装ではなく、エプロンをつけて入ってきた公爵夫人から、そのエプロンを剥ぎ取ったエピソードは有名です。その話はこの本にも出ていましたが、より詳しく書か…

短編小説1です

さて、前々から話していましたが、「コミケではきっと目を通してさえもらえないのでは?」と思っている、新刊の巻末から始まる短編集、その冒頭部分の掲載を始めます。2本のうち、1本目は「お嬢様とメイドさん」を描きたい、というシンプルな思考・構成で…

カントリーハウスのメイドである理由

自分の作っている同人誌は特殊な方かもしれません。メイドさんジャンルという分野でありながら、同人誌1巻目の主役はメイドさんではありません。主役は貴族とその屋敷であり、使用人と屋敷、その主人すべてが存在してこそ魅力がある、というスタンスでいる…

家政婦とハウスキーパー

久しぶりに名探偵ポワロシリーズを読み直しています。新規に創刊したクリスティ文庫を少しずつ買って、『ビッグ4』『オリエント急行殺人事件』、それに『杉の柩』(これはまだクリスティ文庫には無いので図書館)を読みました。 十年以上前に読んで以来なの…

イギリスドラマのアイロン

さて、ストーリーとは関係ない雑談です。コミックス『エマ』をご覧の方はご存知ですが、ヴィクトリア朝期のイギリスではアイロンをかけるときに、霧吹きの代わりに洗面器を使っていたようです。洗面器に指を入れ、手についた雫を払って、布に湿り気を与える…